第3話 イルシア×試練

イルシアside


「試練?」


 突然試練と言われイルシアはとまどう。


「そう試練だよ」


「何をさせる気?」


「それはね、何だと思う?」


 目線をユカエルに合わせる。


「え?」

 

 ユカエルは突然倒れる。


「てめえ!!」


 イルシアはマリエルに反応して殴りかかろうとする。


「!!」

 何か跳ね返されたような衝撃で壁にぶつける。


「大丈夫、生きてるから安心して」


「っぐ、ユカちゃんを巻き込むな」


「怪我はさせてないよ。眠らせただけだよ。イルシアちゃんを追い詰める為にね」


 その言葉と同時にユカエルの体に触れると脈拍、呼吸は正常だった。


「っほ」


 イルシアは安心した表情になりながらすぐマリエルを睨む。


「まあ、試練というよりはユカエルちゃん、イルシアちゃんを一方的に◯す感じだね」


「あんた、すでにわしとユカエルに手を出したりしている以上、異世界ルールに違反してないか?」


「別に違反はしてませんよ。個々に対しての干渉は最低限は許されてますよ」


「どうする気だ?」

 

 痛みをこらえながら声を出す。


「それはこれからのお楽しみです」


「っく、ふざけるのも大概にしろ」


「別にふざけてませんよ。これから邪魔になる者を潰すだけですよ」


「………(さあて、どうなるか覚悟決めないとな)」


「さあて、これからイルシアちゃんのところと世界中に変異モンスターを放ちますよ」


「どれくらい放つ気だ」


「わたくしがいなくなった後のお楽しみです」


「………(本当に性格が悪すぎる)」


「それは、褒め言葉ですよイルシアちゃん」


「心の声を読まなくて良い」


「ふふ、それじゃあイルシアちゃんがんばってね」


 少女は消え。世界中に話をしている謎の声も聞こえなくなる。


「さあて何が出る!?」


 大きな足音が聞こえる。しかも数も何体かいるような数の足音が来て立ち止まる。


(こうちゃんがモンスター避けに建物を異世界化+異質化してくれたから攻撃はして来ないはずだけど!?)


ドスンドスンと建物が揺れ始める。


(逃げようにもユカちゃんいる以上逃げられない)


 ドスンドスンと建物に体当たりしてるのか大きな音がなる。


(マリちゃんめガチで◯す気だな、逃げる選択肢すら潰して来たか)


 バキバキと建物にヒビが入る。


(こうちゃんから貰った武器はあるがこのロング包丁だけでは太刀打ち出来ない)


 ドコンと大きな音を立てて壁、屋根に穴が空くとゴブリンを一回り大きく身長3mはありそうなモンスターが現れる。


(ユカちゃんだけ守りたい)


 震えながら包丁を持ちイルシアは構える。


「ぐぎゃ」

 ゴブリンは声を出し拳がイルシアに降りかかる。


「っぐ!!」


 拳に対して包丁で切ろうとするも変異したゴブリンに刃が通らず切ることは出来ずそのまま拳が当たり反動でぶっ飛ぶ。


「ごはあ、ごほ(やべえ、異世界装備してなかったら確実に肉片になっていたな)」


 変異したゴブリンはまってはくれずユカエルにも攻撃が迫る。


「ユカちゃん!!(こうちゃん、助けて)」


「ぐぎゃ?」


 ユカエルにあたる拳が浮いてる手の形をしたような物によって止まる。


「ぐぎゃ!?」


 首元に手の形をしたような物が変異したゴブリンに当たり大きくのけ反りぶっ飛んで行った。


「助かった?誰?」


 外から黒い服に身を包んだ女が表れる。


「大丈夫かな?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る