第4話

遅発性だったら…

身体動かさない方がいい。

ゆっくりと浸蝕していく毒は蝕む。

心も巻き込みながら。

絶望を想う。

「背中に乗って。

荷物は悪いが持っておけ。

俺が咥えてもいいが最終涎塗れだ。」

笑ったら困った顔をした。

食べるつもりなんだろうなと表情から判断する。

悩んだ末の結論は、お持ち帰りだった。

ほらみろとは言った。

にべもない。確かに。

でも、ここで喰うなと言った振り出し戻りだからな。

城で同じ論の流れをするならば少し違ったかもしれない。

大人が知恵を振り絞って最適を導き出すのかもしれないし、

並行で何も決まらなかったのかもしれないし。

これも無駄。考えても到達しない行く末を考えるなど。

チビは主張した。

「美味しかったから食べて欲しい。」

疑う気持ちが無いのか疑いたくないからなのか、

量りかねたが余り意味をなさない。

俺が考えた所で俺では無いし、

そこを突き詰めた所で結論が変わらない。

「往きは変化で来た。」

「無変化で。ヒト型で。そのままで。

乗って。」

「出来る!疲れてない!」

「うん。あぁ。

出来るか出来ないかではなく、変化はしないで。」

「タツが変化で帰るのに僕も変化で帰る。

出来なくない!」

「うん。

俺は出来るか出来ないかを問題としては無いんだ。

分かって。」

「分からないっ」

「「子どもだから!」?」

さぁどうする。

正直に洗いざらい話して、だから駄目なんだと言うべきか。

これ一番正攻法。

ただし…汚さも露骨に知らせなきゃなんない。

嘘を吐く。

これ一番楽。

ただし…内容によっては後々自分の首を絞めるかもしれない。

理由は言えないが無理矢理従わせる。

これで納得させる。

ただし…最終力でどうにかしようとしてるかもしんない。

どれもイマイチな気がしてくる。

はぁ…

「あのな。

どうでも良かったら変化で飛ばしてる。

だけど、お前より年も重ねてきた俺があらゆる方面で考えた結果。

お前は背中に乗せて連れ帰ろうと判断した。

もう俺が墜落しそう死んじゃいそうって時は変化で帰れ。

俺の目の黒いうちは、呑んで背中に乗って欲しい。」

「白くなった時は頼む?」

「あぁ白目向いた時は、お前しかいない。

その時は否が応でも必ず変化で飛べ。

自力で城へ戻るんだ。」

「うん分かった。」

何が分かったんだ言ってみろの法則だそうとして、

分かんないと言い始めても困るなと…

目を合わせて頷いた。

「じゃあ変化体になるから釣られんなよ。」

「分かってる。」

頷き見ながら龍に姿を変える。

尾を降ろすと器用に登る。

身体能力まずまず。

こいつ変化で帰るって聞かなくってさー

笑って言えるかの勝負だ。

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