1-6
俺は即刻シリンダーを叩き割った。栄養薬剤が床一面に飛び散り、眼球が転がっていく。スピーカーも沈黙した。
殺してくれ、そう言われた。ならばこれ以上、無意味な会話を聞く必要もない。俺は依頼通り実行しただけだ。
そして指定されない限り、いつどこで何をするかは、俺が決める。
この眼球は今死ぬ、もう価値は無い。出会った記憶そのものが、ストレージ容量を圧迫する。俺は要点だけを記録し、直近の音声データを消した。
最後に俺は、眼球を踏み潰す。完全に息の根が止まったことで、条件プログラムが作動し、口座入金がされた。通知された額の半分も無いが、この手の仕事ではマシな方だ。
俺は何かに背を向けて、その住処から外へ出た。
ニューヨコハマはまだ、クリスマス前の雨だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます