第10回 週刊誌に求められるテーマは10年前と大きく変わった
皆さまは「週刊誌」に、どんなイメージをお持ちでしょうか?
・トレンドや時事問題を報道し、風刺する雑誌
・女性誌なら時短料理などの実用的な情報を得られる
・男性誌ならグラビア写真があって、政治にも切り込む
……というイメージなら、ポジティブな見方ですよね。
「マスゴミ」なんて言葉が使われるように、「著名人の揚げ足ばかり取っている雑誌」と認識されている方も少なくないかもしれません。
その側面もありますが、週刊誌はだいぶ変わってきました。
理由は大きく分けて2つあると分析します。
●読者の高齢化
10年ほど前まで、週刊誌のメインターゲットは「40代~50代前後」でした。
今は「50代~60代前後」です。
つまり、購入する層が変わらず、そのままシフトしているのです。
すると、関心ごとは変わって当然です。
ダイエット(減量)法から健康法へ。(見た目より元気に長生き)
高級嗜好品などの紹介から、投資を含めた老後対策へ。(消費より貯蓄)
週刊誌を見ると、男性誌・女性誌ともに「健康」法と「貯蓄」「節約」法が載っていない号はないくらいです。
多くの人は、芸能人の不倫なんてどうでもいいのです。自分の生活でいっぱいいっぱいなのです。
(雑誌を購入してくださる方は、まだ余裕があります。それでも「生活保護」特集は関心が高かった。私は日本の将来が心配です……)
●スマートフォンの普及、1億総メディア時代
週刊誌といえば「芸能人の裏事情」のようなイメージがあるかもしれませんが、これだけSNSが普及すると、芸能人は自分から発信してしまいます。
もしくは、芸能人の「決定的瞬間」に出くわした人なら、誰でも隠し撮りができてしまう。これでは記者もカメラマンも不要です。
――まさに1億総メディア時代!
テレビの報道を見ていても、土石流など災害系の動画は「視聴者提供」という文言が増えてきましたよね。
ですから、「パパラッチ」ネタから撤退した週刊誌は少なくありません。
私も、10年以上前になりますが、芸能人の家を張り込んでいた時期があります。そうやって記者やカメラマンを24時間稼働させていると経費がかかります。
経費以上に雑誌の売り上げがあるなら続けるでしょうが、雑誌はどんどん部数を落としています。
だから経費のかかる「芸能ネタ」から撤退、もしくは縮小せざるを得なかったわけです。
いまの週刊誌のトレンドは著名人の「揚げ足」ではありません。
生活に密着した「お得な情報」を求めているのだと思います。
こんなに余裕のない世の中に誰がしたんだ! ……と、叫びたくなりますね。
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