第20話 まりさんの結婚話とママりんとかえでちゃん
「じゃあ、誰からキスする?」
「辞退しても良いですか?もしこれがまた広がったら
生きていける気がしません。多分殺されます」
「たしかに。たしかに怖いよね。じゃあなしにする?
でも約束したし、なにかはしてあげたいけど。でもこの4人だけの秘密にしておけばばれなくない?」
「い、いえ.......隠し撮りも全く気付かなかったんで正直怖いです。」
「よし、じゃあほとぼり冷めるまでやめておこう。まりちゃんも奈央ちゃんもそれでいい?」
『はい』
二人とも俺のことを案じてくれたのか二つ返事だった。
みんなはそれぞれの自宅に帰っていった。
もちろんぼくとまりさんは同じ場所に帰ったのだが。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「イチローくん、明日はたしかマネージャー研修で会社に行くんだよね?
不安だったら付き添おうか?」
「いや、大丈夫です。変装していきますしオフィスに入れば怖くはないですから」
「そう。じゃあ私は明日オフだからここにいるね」
「わかりました。夕方には帰ってきますね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ピンポーン、ピンポーン
玄関チャイムの音が鳴る。
ピンポーン。
「ふあぁぁぁ~、ねむーい、もう誰なの!?
もしかしてイチローくんが忘れ物でもして帰ってきたのかな」
ドアスコープをのぞく。
目の前にはお母さんらしき人と高校生くらいの娘がいた。
ガチャ
「どなたですか~?」
眠い目をこすりながら下着姿で玄関ドアを開ける。
「え!女の子。すいません。部屋を間違えました。
楓、部屋番号間違っているよ。何番?」
母親は娘に正しい部屋番号を聞いている。
「もしかしたらここで合ってるかもですよ。誰宛に来ましたか?」
「鈴木一郎の部屋を探していまして。間違えたようで申し訳ないです」
「あ、それ、ここですよ。イチローくんの家ですよね?」
「え!?ええ??ここがイチローの部屋?」
「はい、そうですよぉ」
「まま!!このひとミルフィーユの星野まりだよ!」
「ほ、ほんとだ。テレビでよく見る星野まりだ」
「はい、星野まりですよ。お二人は?」
「イチローの母です」
「イチローの妹です」
「なんだぁ、イチローくんのママりんと妹りんか。どうぞどうぞ、入ってください」
「え?ここにイチローがいるんですか」
「まあ、それは中で話しましょうよ。おいしいお茶入れますね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ははははっ、まりちゃんおもしろ~い」
「かえでちゃんの話もおもしろいよぉ~。
イチローくんて奈央ちゃんに振られまくってんの?」
まりはママと楓と打ち解けてもうすでに親友くらいに仲良くなっている。
まりの天性の才能は誰とも仲良くなれることだろう。
ガチャ
「はぁ~~~!なんでママと楓がいるんだよ!」
僕は目の前の光景に驚きを隠せなかった。
「おかえり~、イチローくん。ママりんも楓ちゃんも最高だね。
さすがイチローくんの血縁関係者。話題に困らない」
「いやいや、なんでこうなってるの?」
「お兄ちゃんが炎上してるってネットで見たから楓は心配になってここまで来たんだよ。大丈夫??」
「こらっ!楓ちゃんの嘘つき!これを機に東京で観光するんだってさっき言ってたのは楓ちゃんだよね」
まりさんがここぞとばかりにツッコミを入れる
「シーーッ!まりさん、それは言わない約束でしょ」
なんとなくはわかってきたぞ。楓は東京観光したい。ママは楓にたきつけられて心配になって一緒についてきた。そんな流れだな。
「二人ともこっちに来るのは良いけど泊るところはここにないよ」
「ええ!?予備の布団買ってあげたじゃない」
(しまった。まりさんと同棲していることは言っていなかった。どうしよう)
「ママりん、泊まれますよ。一部屋空けますのでそこ使ってください」
(さすがにまりさんも気を遣ってくれて今日は自宅に帰ってくれるのか)
「じゃあ、あっちの部屋でママりんと楓ちゃんは寝てください。こっちの部屋でイチローくんと私が一緒に寝ますので」
『は~い』
二人は同時に普通に返事をしていた。
「おい、なんで素直に受け入れてんだよ。おかしいでしょ?
目の前にいるのはアイドルの星野まりだよ。なんでぼくと一緒に寝るって言われて二つ返事なの?」
「まりちゃんの言うことは絶対よ」
「だってまりちゃんよ?そんなの当たり前じゃない」
ママも楓も完全に懐柔されている。
「イチローくん、5回も奈央ちゃんに告白するようなしつこい男は嫌われるぞ」
「な、なんでそれを知ってるの!?」
「今日一日でいろんなこと聞いちゃった。
これから小出しにいじめてあげるね」
「ううっ、もう諦めます。明日も朝早いんでぼくはもう寝ます。後は勝手にしてください」
「明日はまだマネージャー研修だよね?午前中までだっけ?」
「そうですよ。昼過ぎには帰ってきますよ」
「明日は楓ちゃんと東京観光行ってくるから私たちはいませ~ん。
ママりんはこの部屋のこといろいろしたいってお留守番だってさ」
「もう何でも良いです。好きにしてください。おやすみなさい」
ぼくはまさかのママと妹の登場に目をそらしたかった。
とりあえずはお風呂に入って寝よう。
「おやすみーってその前にいつものあれして。ママりんと楓ちゃんの前でわたしからいくのは恥ずかしいからイチローくんきて♡」
「もう、なんなんですか。匂い嗅げば良いんでしょ?はい、いきますよ」
投げやりなぼくはまりさんの首筋を匂いに行った。
相変わらずこの匂いだけでこころが満たされる。
すごく好きだ。この匂い。
すべてを忘れさせてくれる。
ママや妹なんて関係ない。
ぼくはこの匂いがあればそれでいい..................
…………あれ?…………
……あ、ダメだ………
……ばたっ………
「イチローくん!イチローくん!」
ぼくは久しぶりに気を失った。
「ママりん、かえでちゃん、これです。さっき話したの。
だからイチローくんを私もお借りするので
イチローくんの世話は私がこれからしますね。
なんなら結婚までかんがえてもいいかな~って」
「どうぞどうぞ」
ママは何の迷いもなく笑顔で返事する。
「まりちゃんがお姉ちゃんて最高だからむしろ結婚して」
楓もものすごく喜んでいる。
内々で結婚話が家族とまりさんで進んでいることをしらないのはぼくだけだった。
………………………………………………
あとがき
ひさしぶりに新しいキャラの登場です。
もうすぐ1章が終わりますので今しばらくはお楽しみください。
☆レビューいただけるとうれしいです。
よろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます