第6話 まりさんの攻撃とぼく
(隊長!もう股間隊員が限界です。今すぐに救出しなければ彼は逝ってしまいます)
いまだに厨二病が残っている僕の頭の中に緊急伝令が流れてくる。
(だめだ、身動き一つ取れない。股間隊員を救いにいけない………、もう少し頑張ってくれ。もう少しで峠を越えるはずだ)
「ふぅ〜、」
下半身から意識をそらそうと僕は小さく一つ深呼吸をした。
それがいけなかった。一息ついた反動がまりさんに伝わったのだ。
(わっ!!だめ!動かないで!)
まりさんの腕が動く。
股間が擦れる。
まりさんは腕のポジションが悪いのか何度も位置を変えて動かす。その度に僕の股間が悲鳴を上げる。
(隊長!股間隊員がもう限界です!緊急脱出をしてください)
早馬が僕の脳内に飛び込んでくる。
(わかっているんだ。わかったいるけど動けないんだ。伝令係よ)
(隊長、それは動けないんじゃなくて動きたくないの間違いじゃないですか)
頭の中の伝令係が的確なコメントをしてくる。
(ぐぐぐっ、その通りかもしれない。わかった!それではいますぐ緊急脱出を試みる)
僕はまりさんの腕から逃れようと試みた。
「だーめ!お姉ちゃん………むにゃむにゃ」
離れられない!
まりさんが離れようとする僕にしがみついて引き止める。
ガッチリロックされた。
(すまん、みんな。緊急脱出失敗した!
それともう一つ報告が………
失敗と共に敵の豊満な2つの爆弾が
僕の腰あたりを攻撃し始めた)
(危険だ!)
(OH NO〜!)
(終わったぁ!)
僕の全身の細胞たちが最後の騒ぎを起こす。
(すまん、みんな。先にイク)
股間隊員が別れの言葉を述べる。
(待て!まだ待つんだ!イクな、股間隊員!)
指揮官である僕の脳がまだ耐えられると指令を出す。
(よく見ろ!敵の腕はいま、股間隊員には当たっていない。本体への直接攻撃は回避されている。豊満な爆弾が間接的に攻撃をしているだけだ。よく見ろ!)
(それなら耐えられる)
(OH YES!)
(生き延びた〜)
僕の細胞たちが歓喜の声を上げる。
僕に束の間の安らぎが訪れた。
ホッとすると視野が広がるものだ。
ゴクリッ、アイドルが僕の身体に抱きついて寝ている。それもノーブラ下着姿でだ。
スヤスヤと眠っている寝顔が可愛すぎる。
(あっ、まりさん、よだれが少し垂れてきた。
でもそれがまたかわいい)
僕はよだれが垂れる前に拭いてあげなきゃと思ってしまう。
起こさないようにまりさんの唇の横に僕の人差し指を持っていく。
(触れていいんだろうか………
でもまりさんの緊急事態だ。
拭ってあげないと)
そう思いながらも心臓はバクバクだ。
触れる前から心臓のバクバクが止まらない。
一度手を引っ込める。
ふぅ〜、ひと呼吸する。
そしてもう一度チャレンジだ。
心臓の音が耳の後ろの方から爆鳴りをしている。
まりさんの唇に触れた瞬間だった。
「うーん」と言いながらまりさんは僕の着ているシャツでよだれを拭いた。
それと同時にシャツの中にまりさんの手が入ってくる。まりさんの手が温かい。
(隊長!第2波が到来しました!)
(言われなくてもわかっている。
それくらいでうろたえるな!)
僕の司令官は冷静だった。
たしかに手がシャツの中に入ってきただけだ。
細胞たちもすぐに冷静さを取り戻した。
しかしそれをあざわらうかのように続け様に第3波がやってきた!
僕に絡みついていたまりさんの足が折り曲がって上に登ってきたのだ。
なんと股間隊員に直撃だ!
まりさんの手、足、胸、3箇所による僕への
同時攻撃が始まった。
(緊急幹部ミーティングを開催する!)
僕の指揮官が非常召集をかける。
(もうむりだ!)
(おわた〜………)
(どれか一つでも動いたら即、死ぬ………)
細胞の隊員たちはもう戦意喪失だ。
(さらば、股間隊員………)
隊員たちは別れの大合唱をしている。
(諦めるな!妹に抱きつかれたと思えばそれまでだ!)
司令官は起死回生の一手を打つ。
(そうだ!これは妹に抱きつかれていたのと一緒だ)
僕は妹に抱きつかれている想像をする。
それで一気に緊張感がほぐれる………
わけがない。
いつでも発車OKという状況だ。
危機は過ぎ去らない。
次のまりさんの一手が大きく盤面が変わる。
「う、う〜ん………」
(きた!次の動きだ)
ゴロンッ、まりさんが隣で仰向けになった。
「ふぅ〜!」
安堵のため息をつく。
危機は脱した。僕は爆発せずに逃げ切った!
自分で自分を褒めたい。
だれか歴史上の人物が言ったであろうその言葉を自分に投げかけてあげる。
(やった〜!生き残ったぞ)
(危なかったぁ〜、数億の命が助かったぁ)
(股間隊員の忍耐力に敬礼!)
僕の細胞たちが祝杯をあげていた。
僕は死闘を繰り広げた敵に『僕の勝ちだ!』と勝ち誇った顔を見せつけた。
もちろん相手は寝ているのだが………
!!!
なんと先ほどまで戦っていた敵が無防備にも仰向けになっているではないか。
寝巻きのTシャツにはポッチが2つ!
真っ白でピンクの刺繍が入ったかわいい下着!
細すぎず太すぎず、でも肉付きのある太もも!
露わになったその敵はまさに僕に向かって第2ラウンドを繰り広げようとしているようだった。
(おいおい、こんなチャンスは滅多にないぜ。相手は寝ている。ちょっとぐらい触っちゃえよ)
(だめよ!あなたは約束したでしょ。ルール0をもう忘れてしまったの?)
一難去ってまた一難、僕の中の悪魔と天使が戦いを繰り広げ始めた。
(こんな格好している相手の責任だ。
それにまりさんも触って欲しいからここにきたに決まっているだろ)
確かにそうだ。男の部屋に上がる女性はそのつもりだって本で読んだことがある。
今がそれなのか!?
(違うわよ。まりさんはそんな人じゃない。
あなたを信頼しているからよ。裏切っちゃダメ!)
そうだそうだ!女の子の扱いを知らない僕が何かするのは御法度だ。
(お前も男だろ?こういうことを経験して大人の男に成長するもんだ。まずは第一歩を踏み出せ)
たしかに、チャレンジしないと始まらない。
目の前には胸!下着!太もも!僕を呼んでいる気がする。
(だめ!まりさ、きゃーー!)
僕は天使を手で払いのけた。
(よくやった!さあ、おまえの興味のある場所はどこだ?)
悪魔は勝ち誇った満遍の笑みをしている。
僕は胸、下着、太ももと順番に見る。
太ももはなんとなく感触はわかる。ママや妹の太ももには触れたことはある。
下着もママと妹で見たことはあった。
未知の領域、それはおっぱいだ。
手で触るおっぱいはどんな感触でどんな柔らかさか想像がつかない。
まりさんは好きなだけ触ってくださいと言わんばかりの仰向け状態。
「胸………」
僕はゆっくりとまりさんのおっぱいへと手を伸ばした............
…………………………………
あとがき
第6話をお読みいただきありがとうございます。
主人公の中の司令官と隊員たち、天使と悪魔のやり取りはいかがでしたか?
今後も楽しみだなと思っていただいた読者の皆さん、
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