第3話 まりさんの匂いで同棲する

「なんでまりさんがここに!?」


目の前にいるまりさんはラフな格好をしていた。

スキニージーンズに白いぴちティーだ。

胸の大きさを強調するかのようなピチッとぶり。

このシンプルな服装を着こなせるところに

まりさんのスペックの高さがうかがえる。


「そんなことよりやっぱりにおうのよね?わたし」


夢で見た光景と同じシチュエーションだ。


「............」

僕は困惑する。


「やっぱりイチローくん答えづらそう。

 わたしももう覚悟したから本当のこと言って」

まりさんは何かを決心した眼差しで

僕を見つめていた。


僕は腹をくくった。本当のことを言おう。

僕のスケベ心のせいですと。


「まりさん、実は………、」


「やっぱりダメ!それ以上は言わないで。

 やっぱり恥ずかしくて、わたし死んじゃう」

恥ずかしそうに顔を手で覆う仕草もこれまたかわいい。


「いや、でも、ほんとうは、まりさん、」

まりさんをこんなふうにしてしまった僕は真実を告げなければいけないと思う。


「わたしを殺したいの!?イチローくん」

まりさんは耳を手で覆う。

そして『わぁわぁわぁ』と声に出して聞こえないようにしている。


この人はやはり評判通りの天然なのか?

でもかわいい。幼なじみの小田切奈央とは全く違う。

小田切は冷たい。クールな性格だ。でもなぜか一緒にいることが多かった。

親同士が仲良しで家も隣同士だったからだろう。

まりさんはその小田切とは真逆な感じがする。まりさんは愛らしい。


「まりさん、本当はにおってないんです。

 僕が悪いんです。まりさんの匂いがいい匂い

 すぎて倒れただけなんです。ごめんなさい」

僕は頭を下げて精一杯謝った。


「…………うそ。うそよ、ぜったい。

 わたしに気を遣ってるんでしょ?」

まりさんは僕の言葉を全く信じていなかった。


「わかりました。もう一度匂わせてください。

 それで倒れなかったら嘘じゃないってこと

 ですから」


さすがに3度目だ。もう匂いにも慣れたと信じたい。いや、むしろここで踏ん張らないとまりさんがかわいそうだ。まりさんには一切非がない。それを証明するのが今の僕の役目だ。


「わかった………」

まりさんは目をつぶって頭を横に傾けて首筋を露わにする。


ごくりっ、僕は唾を飲み込みながらまりさんの首に近づく。


やはりいい香りが僕の鼻を覆う。

洗い立ての石けん?いやローズの香り?

わからないが脳に記憶されるほどのいい香りだ。

これから一生、同じ香りがしたらまりさんしか思い出さないだろう。

それほどに僕の脳裏にその匂いは焼き付いている。


「すぅ〜、すぅ〜、はぁ〜」

まりさんの首にくっつくかくっつかないかの距離で鼻から匂いを吸い込む。そして吐く。


「すぅ〜、すぅ〜、はぁ〜」


「あんっ、んん〜っ」

まりさんが甘い吐息をもらす。

僕の息が首筋にかかる度にまりさんは身体をビクンとして声を出す。


良い香りとまりさんのあえぐ声が重なり合って

極度の緊張と興奮が入り交じる。


「イチローくん、もっと強く嗅いで………」

まりさんも真剣だ。


「すぅ~〜、すぅ〜~、はぁ〜~」

大きく吸った反動で吐く息も大きくなる。


「あんっ、んん~~っ」

声を漏らさないようにかみしめるまりさんの声。

まりさんは目をつぶって耐えている。

なまめかしい表情をしていた。


そんなまりさんを見て

僕はもう我慢ができない………


……………


…………


「まりさん、もう、匂い嗅ぐのストップしていいですか?」


「うん。ありがと」


僕は安堵して一気に肩の力が抜ける。

あれ以上続けていたらどうにかなってしまいそうだった。


まりさんの匂いだけでご飯3杯はいける。

いや、正しくはまりさんの匂いだけで一日3回はイけるだな。

アイドル星野まりの写真集が出ているのなら

絶対に買ってしまうだろう......


「僕、大丈夫でしたね。ちょっと記憶が曖昧なんですが僕は何回気を失ったんですか?」

「私のにおいで3回気を失ったの。でも気を失わないときもあったの。どうしてなのかなぁ」


「やっぱりそうなんですね。でもどうして気を失うときと失わない時があるのか僕にもわからないんです」


「もしかしたら私、シャワー浴びたばっかりだから匂わないのかな」


(シャワー?)

僕はまりさんの全身を眺めてしまう。


(!!)

白いぴちティーの胸元にポッチが2つ付いている!


母親と妹以外のノーブラを見るのは人生で初めてだ。

いや違う、大人のビデオとかでも見たことはある。

いや、幼なじみの小田切奈央のノーブラは中学時代に見てしまったことはあった。

ノーブラ乳首の映像が走馬灯のように駆け巡る。

いやいや、いまはそんなことをかんがえている暇は無い。

頭からノーブラ乳首の映像をかき消そうとする。

小田切奈央のノーブラの映像が全く消えない。

それを消すためにもう一度まりさんを見直す。


まりさんのかわいい顔、いい香り、ノーブラで巨乳。

小田切奈央とまりさんのWノーブラ乳首の映像が勝手に浮かび僕はまたクラクラしてしまう。


「えっ!やっぱり」

まりさんは僕のクラクラに驚きを隠せない。


「大丈夫です。いまのはまりさんの胸元にクラクラと......」

律儀にも恥ずかしいことを報告してしまう僕。


まりさんは不思議そうな顔をして自分の胸元を見た。


「あ!もう!イチローくんたらっ」


バンッ!


まりさんは笑いながら僕の肩を叩いた。


「ノーブラに興奮しちゃった?」

まりさんは微笑みながら僕の顔をのぞき込んできた。


「...............」

僕はなにも答えることができずもじもじしてしまう。


「ま、減るものでもないし、今日は迷惑かけたからそのお礼ってことでどう?」


「...............」

僕は顔を真っ赤にして黙りこくってしまった。


「なになに、これじゃ不満だった?」


「い、いえ......」


「わかった!じゃあこうしよう」


まさか!もっとエロいことでもしてくれるのか。

僕はもうすでにエロさの限界を超えている。


(お姉さんのおっぱい見る?)

(お姉さんのおっぱい触って良いよ)

(お姉さんと一緒に寝る?)


瞬時に妄想がエスカレートする。

僕はつばを飲み込み、聞いた......


「それはなんですか?......」



……………ごくりっ……………




「私と同棲しましょ!」


(なんだ、やっぱエロいことじゃなかったよね......

 え? はあ? はあ!? 同棲??)


「え!?どうせい?」


「うん、今日からお世話になります」


「え?」


「今日からお世話になります」


「は!?」


「だから今日からイチローくんと同棲します!」



…………………………


あとがき


第3話をお読みいただきありがとうございます。


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