第2話 まりさんの匂いが僕を襲う
奇跡のダンスサークルへの入部。
そして初めてのサークル活動。
なんとそこには幼馴染の小田切奈央がいた!
親同士の会話から同じ大学に進学したことは知っていた。
でもまさかサークルまで同じとは。
でもそこは小田切奈央がいてもいなくても
かわいい女の子ばかりだった。
もちろん星野まりさんが一番かわいい。
「おっ!入れたね?このサークルに」
まりさんがニヤニヤしながら話しかけてくる。
「はい。その節は助けていただきありがとうございました」
「いいのいいの。これからは仲間だからよろしくね。イチローくん。
でも選考会のダンス下手だったね。わたしがみっちり教えてあげるから安心してね」
なんていい人なんだ。普通、アイドルってお高くとまっているんじゃないのか。
星野まりはなんかサバサバしていて気持ちがいい。
初めての慣れないダンスに手取り、足取り、腰取りとかわいい先輩方が代わる代わるいい香りをさせながら僕にダンスの指導をしてくれる。
男1:女9の世界だ。
かわいい女の子ばかり。
香ばしいその香り、
芳しいその香り、
艶めかしいその香り、
女の園だ!
もうたまらない!田舎育ちの僕にはすべてが新鮮だった。
くんくん、くんくん、くんくん。
「えっ!イチローくん、わたし、におうの?」
そう、まりさんの匂いを嗅いで気を失うまでは………
………………………………………………
(あれ?ここはどこだ?なんだか走馬灯のような夢を見たな)
僕は身体を起こし、あたりを見回した。
ここは医務室だった。
気を失った僕は医務室に運ばれたみたいだ。
ガラガラ、医務室の扉が開く。
「イチローくん、起きたのね。大丈夫?」
まりさんが心配そうに駆け寄ってくる。
左手で髪を耳にかけながら俺の顔をのぞきこむ。
ダンス用の緩めのTシャツを着ていたまりさんは胸元が露わになっている。
胸が大きい!顔もかわいい!上目遣いがやばすぎる!
さすがアイドル。レベルが違う。
「は、はい、もう大丈夫です」
まりさんのかわいさに僕の心の中はテンションが高くなる。
「ごめんね、わたしがにおったのよね………」
まりさんは相当ショックな顔をしている。
「違います!本当に」
僕はいい香りすぎて倒れましたなんて恥ずかしくて一言もいえない。
精一杯否定することしかできない。
「ウソ!だって倒れたじゃん」
まりさんはちょっとおこり気味に喰ってかかってきた。
よほどショックだったのだろう。
「本当に、本当に匂いません!」
僕はもう否定の仕方がわからなくなってしまった。
「じゃあ、もう一度匂い、嗅いで!」
ええ!?
でもそれで証明するしかない!
僕は心を入れ替え、次は倒れないと決意する。
「じゃあ、いきます………」
まりさんが前屈みで僕のベットに乗っかる。
徐々に近づいてくる。
おっぱいが丸見えだ。
まりさんは心配なのか目をつぶっている。
おっぱい見放題だ。
(あっ、いい香りもしてきた………)
まりさんの顔が近づいてくる。
目の前にはおっぱいも………
「えっ!ま、まりさん………」
まりさんは僕にぎゅっと抱きついた。
「こうでもしないと息止めるでしょ?」
耳元でささやくまりさんの声が僕の脳内で何度も反芻する。
(こうでもしないと息止めるでしょ………)
(こうでもしないと息止めるでしょ………)
(こうでもしないと………)
ガクンッ。
僕はまた違う世界に旅立ったようだ。
「ちょっ、イチローくん......
イチローくん!......」
まりさんが僕の肩を揺らす。
僕の意識は徐々に薄れていく。
まりさんの声だけが医務室にこだまする。
……………………………………………………
(ここはどこ?)
目を覚ますとまりさんがベットの前に座っていた。
「あっ、起きたね、イチローくん」
「はい。僕、どうなったのですか?」
「また気を失ったの。わたしの匂いで。
でももうこんな時間で誰もいないし、
イチローくんの看病できる人、
わたししかいなかったから………
ごめんね、わたしのせいで」
まりさんは本当に悲しそうな顔をしていた。
「本当ににおってないです。本当に」
「嘘ばっかり... 2回も気を失ったのよ……」
まりさんの目には涙がたまり、いまにも溢れ出しそうだ。
「まりさん、失礼します!」
僕はまりさんに抱きついた。
「えっ!?イチローくん?」
目を見開いて驚くまりさん。
「そのまま動かないでください」
僕はまりさんの首筋を匂いをかいだ。
今度は絶対に気絶しない。
心にそう決めて抱きついた。
………………
………………
「ほら!気絶しないです」
「しくしく、う、うわーん、えんえん」
まりさんが急に泣き出した。
「もう誰とも会えないと思ってた〜、
よかった〜、こわかったよ〜」
まりさんは子供のように泣いている。
泣きじゃくるまりさんを見て僕は妹をあやすように頭をなでなでする。
一瞬、時が止まる。
(頭なでたのはまずかったのか……)
すこしの沈黙の後、まりさんは鼻をすすりながら僕に抱きつく。
「しくっ、しくっ」
「もう大丈夫ですから。まりさんは匂いません。安心してください………」
まりさんはぎゅっと抱きついてくる。
まりさんの胸の感触と弾力が直に伝わってくる。
(あぁ、これが女性の感触か......柔らかい)
そしてまた僕の目の前にまりさんの首筋が………さっきのにおいがする......
あれっ………?
やっぱり意識が遠のい、て、い、く………
………………バタンッ…………
「イチローくん! イチロー……」
まりさんの声が遠くなっていく。
………………………………………
(あれっ?ここはどこだ?)
あたりを見回す。身に覚えのある光景だ。
ガバッ!僕は布団から飛び起きる。
僕の部屋だ!
いつのまに自分の部屋に?
あれ?また、まりさんに抱きついて気を失ってしまったのか………
僕は記憶を辿ってみる。
いや、ちがう!今まで全てが夢だ。
そうに違いない。今、目を覚ましただけだ。
ふぅ〜〜、ため息をつく。
そうだ、すべては夢だ。
気持ちも新たに今日の1日を始めよう。
シャーーッ。
カーテンを開けて朝日を浴びる。
ん!? 夜!?
外は真っ暗。朝日の朝の文字すら感じない窓。
「ん〜っ?夜まで寝てしまったのか?」
まっ、いっか。起きよう。
そう思いながらもまりさんのいい香りを思い出してしまう。
「なんともリアルな夢だったなぁ。
まりさんの匂いたまらなかったな〜」
独り言を言いながら顔がニヤけてしまう。
ガラガラガラッ、隣の部屋の扉が急に開く。
「えっ!?やっぱりたまらないくらい匂ったの??」
まりさんの表情は青ざめている。
「ええ!!なんでまりさんがここに!?」
…………………………………………
あとがき
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