【旧東京1番ダンジョン】
生成されたのは、一人の幼げな女の子だった。
美しいと表現されてもおかしくはないパーツを持っている筈なのにどこかちぐはぐな、不気味な印象を感じる。
髪の毛も一部長かったり短かったり、色や癖も様々。肌の色も不自然なグラデーションを描いており、まるで別のパーツを無理矢理継ぎ足して1つの人間にしたような言いようもない不快感。
そもそもダンジョンコアが生成したモノだ、間違いなく人間ではない。
【王眼】で即座に確認。
種族:旧東京1番ダンジョン
生命:E
魔力:E
力 :E
防御:E
速さ:E
装備:
鑑定結果そのまま受け取れば、この人の形を真似したモノはダンジョンそのものだということだ。
最強のガーディアン3体同時生成とかいう離れ業をやってのけたダンジョンでも流石にもう限界なのだろうか、あまりに弱々しいステータスだ。
「鑑定結果、旧東京1番ダンジョン。敵ですね」
だがステータスの弱さを額面通りに受け取って油断なんてしない。
所詮はダンジョンだ、ここまで散々こちらを苦しめてきたようにどんな悪辣な行為をしてきてもおかしくない。
「、マッて!!」
イントネーションのおかしさが際立つ不可思議な発音だが、今たしかに「待って」と言われた。
「人間の言葉を話す意思と知能がある……?」
「オネガい、コロサないデ」
「今まで何人も殺してきたダンジョンの癖して何言ってんだ」
【勇者】さんへの仕打ちだけでも相当な人に地獄に堕ちろと願われるぞ。
所詮は畜生、人の形を真似ていたとしてもダンジョンなんかの言うことを聞く気は無い。
「ナゼ、敵対スるの」
「それは、お前がダンジョンだからだ」
コレ以上の問答は不要だろう。
いくら情に訴えかけてこようともお前がダンジョンである限りオレは絶対に油断しない。
何かあったときすぐに逃げられるように警戒したまま首を斬り飛ばせば、そのままあっさりと倒れ込むダンジョン。
ちゃんとステータス通りの雑魚だったことに一安心する。
今度こそダンジョンコアも限界だろうと見れば、眼の前で巨大なコアがゆっくりと砂に変わっていく。あまりに大きく強大だったダンジョンもついに完全に死んだということだ。
完全に消え去った事を確認して、配信のコメント欄に意識を向けた。
「……人でなし?えっ、だってダンジョンですよあれ!?」
なぜか非難轟々である。
いや、ほんの少し前まではみんなダンジョンへの怒りに満ちてたじゃん!
それがちょっと人型の女に見せかけた肉体を持っただけでここまで討伐に否定的になる!?
「いや、騙されないでくださいよ。あれは所詮ダンジョンですよ。命乞いしてきたとしても数百年前にスタンピード起こして甚大な被害を出したダンジョンなんですから……って、崩落速いな!?」
崩壊に巻き込まれた人間はどうなるのかなんて誰も知らないので流石にダンジョンアウトしなくてはならない。
「えーっと、すみませんダンジョンの崩壊が早いのでここで一旦配信を切ります。ちゃんねる始まって以来の目標であった、旧東京1番ダンジョンの
駆け足になったが挨拶をして配信終了のボタンを押す。
といってもオレは【リターン】がないのでここからダンジョンアウトしないといけないのだが。
【神眼】によって明かされた効果によりお手軽自爆装置と化した【生死の天秤】を発動。
【フレンドリーファイア】を発動して自分に向かって攻撃すればあっさりと自爆完了した。
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