配信10回目
全力でダンジョンを駆け抜けること10時間。
戦い続けるのと少し違う疲労に筋肉痛の予感。
950階層からのボスラッシュは通り抜けも出来たがほんの少しでも草刈りを兼ねて倒してから上がった。
そしてついに再び辿り着いた1000階層。
今回は前回の反省を活かしていこうと思う。
まず第1形態。
これは不意打ちの失敗が起きないように光源に気を付ければ問題無い。
更に第2形態。
今回は前回の精神攻撃対策装備を全て置いてきて代わりにドラゴン特攻装備を持ってきた。最近使うことが無くなってすっかりと特攻装備の存在を忘れていたが、本来ああいった強い種族には特攻装備が存在している。
ドラゴン特攻以外にも悪魔特攻、巨人特攻、霊特攻、鬼特攻などが有名だ。旧京都系のダンジョンでは特に霊と鬼特攻を持っていく事を推奨する。大抵のボスがどちらかの特攻対象なので。
なんて、関係ない事を思いつつもドラゴン特攻装備、龍殺しの腕輪を確認。この装備のおかげで餅つきをしないでも剣が通るようになるはず。
そして問題の第3形態。
こいつに関してオレが出来ることはほぼ無い。
前回対策装備を持っていても耐性を貫通されてしまったし、恐らくあの精神異常攻撃に抵抗する術は無いだろう。
なので形態変化の間に【魔剣製生】を解除して無手になろうと思う。
無手で自殺となると首締め辺りになると思うのだが、流石に窒息死より先に我に帰れるだろうと信じて突撃する。
「いざ、再戦」
……いやまじで窒息死ギリギリだったどころか首が折れる直前だった。これ剣の方がまだ安全だったかもしれん……。
見通しが甘い所が思いっきりでたが、ダンジョンアウトしなかったので良し!
さて、ここでついに配信開始の準備だ。
今回の配信タイトルは「【ガーディアン戦】旧東京1番ダンジョンガーディアン戦、完全制覇またはダンジョンアウトまで」にした。
いつものようにオプションで外見表示がオフになっていることを確認して、視界不良解消のオプションもチェック、前回の反省を活かして残酷表現オフ機能もオンして配信開始。
「前回も見てくださっている方も今回からの方もこんにちは、塩漬けちゃんねるです。今回は配信タイトルからも分かる通りガーディアン戦となります。1000階層エリアボスの魔王は討伐済みなのでガーディアン戦のみです」
コメント欄もついに来たガーディアン戦に興奮を冷めやらない様子だ。
本当に倒せるのかと疑問視する人も沢山いる。
正直ガーディアンの強さがどれほどなのか、これまでの草刈り作業でどれだけ弱体化できたかは実物を見ないと分からない。
「そして、当然ですがこちらの
久々の注意事項をコメント固定するように思念入力でする。
今日はあくまで偵察になると思うが、倒せるなら倒すくらいの気持ちで行く。
ダンジョンコアの位置は大抵最奥になるので第1形態の魔王が座っていた椅子の辺りが怪しいだろう。
近付いて魔力を練る。
ダンジョンの破壊は魔力量が物を言うので効率など度外視して込めた魔力を一閃。
剣閃の跡を残すように穴が空いたダンジョンの向こうに巨大なダンジョンコアが鎮座していた。
穴の向こうにあるので全長まで見ることはできないが過去の
こちらの攻撃の意志を理解したであろうダンジョンコアがチカチカと点滅する。
ガーディアンの出現位置がどれほどになるか分からないが未知のモンスターについては距離を取る方がいい。
バックステップで退くと、丁度オレがいた辺りにガーディアンが生成され始めた。
サイズについては魔王の第1形態と同じ人型サイズだ。
しかしそれにしては肌の色が紫色ではなく、まるで人間のような肌色をしている。
生成されきったガーディアンの姿は、この国の人は絶対に一度は教科書で見たことがある人の姿をしていた。
「……」
まさかという思いで【王眼】。
種族:ガーディアン・勇者レプリカ
生命:S+++++++
魔力:∞
力 :S++++++
防御:S++++++
速さ:S++++
装備:勇気の剣、封絶の鎧、堅守のサークレット、守護者の盾、約束の指輪
数百年前の姿そのまま再現されたかのような容姿だがその顔に感情はない。
あくまでレプリカでしかないと言わんばかりの姿だけ真似た勇者を、ガーディアン?
どんだけ人をコケにすれば良いんだこのダンジョンは。
怒りに気がはやったがそれでも続いて生成されるガーディアンを見逃すことはなかった。
新たに生成されたガーディアンもまた、教科書で見たことがある姿をしている。
種族欄に明記された【ガーディアン・冒険王レプリカ】の文字。
続いて更に生成されるガーディアンも当然のように人間の姿をしていて、【ガーディアン・
「……理想のパーティってか」
歴史に名を刻む偉大な探索者をこのような形で利用されるとは思っていなかった。
このダンジョンのダンジョンコアが一体どのような思考でガーディアンを産んだのか、知りたくもないが本人たちのスペックを完全再現されたとするならばそれは厳しい戦いになる事が確実だった。
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