ダンジョン調査3
各フロアでレアモンスター耐久を行うこと3時間。
調査開始から約7時間でようやくマップ100%、モンスター分布、エリアボス、ドロップの確認が完了。
フィールド型だと判明した時点で泊まり込みも覚悟していたが、フロアが合計4フロアのみで助かった。
「これにてダンジョン調査完了です。長時間の作業配信にお付き合い下さりありがとうございました」
最後の方はちゃんねる登録者数400を超えて間もなく500の大台に乗りそうなくらいの登録者数増加スピードだった。
もっと全く伸びないのを想定していたので嬉しい限りだ。沢山の人に見てもらえるというのは正直嬉しい。承認欲求の化け物になってしまいそうだ。
「後はギルドへの報告のみなので、配信としてはここまでになります。最後になりますが、もしよろしければちゃんねる登録と配信通知諸々よろしくお願いします。ご視聴ありがとうございました」
配信終了ボタンを押して終了。
下の階層のからレアモンスター耐久をしてきたので今は1階層になる。帰りが楽になるのでダンジョン調査の際はいつも同じようにしている。
リポップしたモンスターをスルーしてダンジョンを出ると付けっぱなしだった過剰装備を外して身軽になってから遠上市のギルドに向かった。
全ギルド共通の防犯線を超えると見慣れた形の建物が見えてくる。
受付のタッチパネルで依頼報告を選択すればガラガラのカウンターに通された。
「遠上市10番ダンジョンのダンジョン調査報告に来ました」
「もう完了したんですか?早いですね〜。ではマップの転写をお願いできますか?」
受付はややくたびれた印象のおじさんだ。ネット小説みたいに美人な受付嬢が居るギルドは大抵大都会で、遠上市のように人口の少ない都市だと元探索者のおじさんおばさんだったりすることが多い。
差し出された端末にステータスからコピーしたマップを思念入力する。
「全4階層で各階層100%を確認しました。続いてドロップ品をこちらにお願いします。……はい、ではこちらのドロップ品の買取価格を依頼料に追加します」
まとめて転送すると買取価格が表示される。ダンジョン調査のドロップ品はそれ自体は貰えないが最終的に買取価格分依頼料に上乗せしてくれる市もあるが、遠上市はそのタイプだったようだ。
「モンスター情報については後日のレポートか口頭での報告を選べますがどちらにしますか?」
「口頭でお願いします」
「はい、では今から文字起こし機能をオンにしますのでお願いします」
「1階層のモンスターはウインドフェアリー、ドライアド、ツリースパイダーの3種がメインです。レアモンスターは……」
レポートは後回しにすると面倒なのでの全て口頭で伝えていく。
出現率とかの詳細を伝えていくと評価も良くなるので覚えている限り羅列していった。
「……、以上です」
「ご協力ありがとうございました。以上で依頼の報告を完了とします。……あまり人気な部類の依頼でないのに遠方から来ていただけて本当に助かりました」
「いえ、探索者として当然のことですので」
仕事だとしても自分より大人の人に頭を下げられると未だにどうすればいいのかわからなくなってしまう。
自然に話を切るためにさもギルド内の設備に用がありますという素振りで受付から離れた。
ギルドの施設は共通でクエストボードと装備変換器(通称ガチャ)と洗礼石がある。
地域に基づいた依頼についてはネット上に公開していないことが多いので、遠上市付近特有の依頼が見られる。
納品依頼がやけに海系に寄っているのできっとここのダンジョンに海型のフィールドダンジョンがあるのだろう。流石に今日の調査対象が海型だったら一日では終わらなかったな。
クエストボードの横に置かれた装備変換器は、ダンジョンでドロップしたモンスターのアイテムを入れると入れた素材に応じて装備を生成してくれる物だ。
どの部位の装備が出るのか、何をどれだけ入れたら何が出るのかが割とランダムなせいでガチャと呼ばれている。
オレ自身は【闇の衣】と【魔剣製生】でほぼ一般的な装備を使わないせいで助かっているがハマる人はとことんハマると噂。
ダンチューバーの中にはガチャ配信をメインコンテンツにしている人もいる。
その人はいつも物欲センサーに泣かされているのでダンジョンは確率操作しているのでは?と話題になっていた。
装備変換器はダンジョン製なので最低保証も平等さも担保されている訳では無い所も陰謀論が流行る理由だろう。
なんて装備変換器を眺めていたらなんとなくやりたくなってきたのでフロストドラゴンの素材を適当に投入してみた。
「……フロストドラゴンスケイル」
うーん、物欲センサー。
こないだフロストドラゴンスケイル欲しさにガチャ30連して全敗していたガチャり人ことサラマンダー田中さんを追悼。
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