第2話 緊急速報
「えぇ、ここで緊急速報です。我らが
道行くすべての人々が、一斉に足を止めてビルの大画面に注目する。
ニュースを読み上げる真面目な
どうせいつもみたいに、ろくでもないことを言うに違いない。
本当に、なんで我々の先祖はこんなのを
『えー……ゴホン、皆の衆、変わらず元気で充実した日々を送っているかね? それは全て私の力によるものだ。平伏し、感謝するがいい……アハハハ!』
大画面にデカデカと映し出された
それとなく周囲を見回すと、こめかみを抑えていたり、胃のあたりを抑えていたり、握った拳を小刻みに震わせている人々の姿が目に入る。
わかる、わかるよ……俺も心拍数激上がりだ。
『えー……ゴホン。ここに由々しき事態が起きてしまった事を報告する。なんと、私のかわい……いや、優秀な巫女がだな、なんと全員揃って退職してしまって、なんと現在在席数がゼロなのだ!』
な、な、なんだって!
俺は息を飲んだ。
そんな素晴らしいことが起こるだなんて……
あ、なんだか涙が出てきた……
それとなく周囲を見回すと、目元を抑えたり、小さくガッツポーズしたり、口元を抑えている人々の姿が目に入る。
うんうん、わかるよ。俺も心底嬉しいもん!
『えー……ゴホン。したがって、このままでは神官の老いぼれ……いや、頑張りやのお年寄り達の業務に支障をきたしてしまう。それはなにがなんでも避けなければならない! いいか、なにがなんでもだ!!』
おい……ちょっと待て……この流れはまさか……
『というわけで、全国規模で巫女の選抜を行う! 私好み……いや、神の声を聞き慰める、素質ある優秀な巫女を育てる為である! いやあ、これで皆の平和も守られるのぅ! 詳しくは神官達から広報があるから、その時を楽しみに待つといい! では皆の衆、ラブミーテンダー!!』
ぶつん、と何かがキレる音がした。
それは放送が切り替わった音なのか、それとも俺の神経の音なのか……
俺、この星でなくても生きていけるんだよな。
次の
俺は全宇宙の惑星のネットワークに接続できる、小型の機械をとりだして操作し始める。
それとなく周囲を見回すと、目に入るすべての人々が俺と同じ事をしていた。
まあ、そりゃそうなるよな。あばよ、
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