第26話

診察台の椅子……。ごく普通のスツールに私は腰をかけた。白衣の女性が微笑む。彼女は私の頬に手を触れると口を開くように指示した。私はどきりとしながら口を開いた。

キューギュルギュル

機械音がして、彼女の手首が一回転した。そのまま手の付け根が開くと、そこから綿棒が出てきた。

私の口内を綿棒が優しくかき混ぜる。その間、私をじっと見つめている彼女の瞳は青く穏やかに光を灯していた。

キューギュルギュルギュル

また、機械音がして、彼女の手が引っ込む。

彼女は、デスクに向かうと、私の口内をかき混ぜた綿棒を透明な液体に浸した。

よかった……。身体検査と言っても私が恐れるものではなかったのだ。

ほっとすると同時に身体の筋肉が弛緩していくのを感じた。緊張感が緩んて急激な眠気がやってくる。

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