第24話

ケンがため息をついた。

「大体さっきの奴だって、マダムが気のある素振りを見せるから暴走しちまったのに」

さっきの奴……。私はあの得体の知れぬ怪物の黒い指を思い出して身震いをした。私の足首の傷は、赤黒くなって痛々しい。

「あら?積極的なところ、結構かわいいと思ったもの」

ケンは、マダムの言葉を無視する。

「七哉、お前の体細胞を少しだけいただいて、検査機にかけたいんだ。何、心配することはない。綿棒で口内をぐるっとかき混ぜるだけだ。結果が出るまでは、帰すことができないがな」

ケンは、マダムにからかわれる私に同情しているようだった。

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