第21話
春先の海はまだ水温が低い。
二人、いやこの場合一人と一匹と言うのが正しいのだろうが、に着いて海水に足を浸すと冷気が踝を包み込み火照った私の身体に冷静さを取り戻させた。
数メートル進んだ時にケンが私を振り返って口を開いた。
「おい七哉、着いたぞ」
名前を呼び捨てにされるのは既に気にならなく無くなっていたが、ケンが言う鼻先で示す場所に何かあるとは思えなかった。
「猪木さん、貴方の目には見えない様に不可視化してあると言ったでしょ」
マダムは笑いを堪える様に肩を振るわせながら、彼女の白く細い右腕を高く掲げるとそのまま振り降ろした。
次の瞬間、私の眼前に姿を現したのは、テレビや映画でもとても馴染み深いUFO『アダムスキー型円盤』と呼ばれる物体だった。
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