第15話

「おい、猪木七哉さん、そんなに俺を怖がらなくたって大丈夫だぜ」

いきなりケンに本名で呼ばれ、私は飛び上がるほど驚いた。

コリーの表情の機微まではあまり良く分から無いが、恐らくは満面のニヤニヤ笑いをしながら続けた。

「何もちっとも驚くことなんて無い。自由自在に姿かたちを変えられるんだぜ。お前の心を読むくらいの事は朝飯前さ」

確かにそうだ。

消え去った黒い異形の化け物も、今は犬の形に戻ったこいつも、断じてこの星の生物ではあり得ない。


「⭐︎✴︎✳︎!」

こちらに向かって、この星の言葉ではない何かを呼びかける女の声がした。

「おっと、いけない。マダムが戻って来たぞ。さてさて本部からの指示は何だろうな?」

ケンは、走り寄るマダムに大きく遠吠えをした。

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