第一分隊初任務



退所してから次の日だ。




「高いーー」




湊は呆然と上を見上げていた。



目の前にあるのは、高層マンション。



新しい湊の住居だ。




ここのかなり上の方が湊の自室となるそう考えるとテンションが上がる。




「大きいですね」



そう呟いていたのは、芹だ。



話し合いの末、芹と同居することになった。


特に彼女も行くあてもなく、どうせなら家賃をより節約したいとの事で同じマンションに住むことになった。




二人は、ホテルのラウンジのようなロビーからエレベーターに乗り、自分の部屋へと向かう。




「広っーーくもない......」




見取り図で見ていたが、思ったより広い部屋でもない。



リビングと寝室、キッチンと風呂、トイレくらいで、数十万の部屋と言われると狭いと思ってしまう。




高層のマンションなんてそんなものなのだろうと、納得するしかないが。




ベットなどの最低限の家具はあらかじめ、持ち運んでいるが随分と殺風景な部屋だ。


部屋の隅には、が入った段ボールの箱が置かれているくらいだ。



あとは家具は充実させないと行けない。




「そういえば、湊。私も貴方の分隊に配属になりました」


「芹も?」


「はい、私からお願いしたんですが、無事に通ったみたいです」




どうやら、芹も第一分隊に配属というわけだ。


確かに芹的にも、知っている人間と同じ所属の方が安心するのだろう。




芹は、段ボールを開ける。



中に入っているのは、2本の刀と、拳銃が何丁かだ。




刀の片方は、真新しい新品だ。



「その刀......」


「えぇ、私が使っていたものです」


「なんか嫌な雰囲気がするんだけど、なんなの?」


「使うと魂を削られます。ですが、相手の魂そのものに攻撃できるんです」




そう淡々と芹は言い放った。



そんな危険な代物を、普段使いしていたというのか。




「えぇ、それ大丈夫な奴じゃないでしょ!? もう使わないで欲しいんだけど......」


「魂を削られるーーというのがどのくらいなのか明確には分かりません。現に私は生きていますし......勿論これからは、下手に使いません。そのためのもう一本です」



セリはそういうと、もう一振りの刀に手を伸ばす。



こちらは呪いの武器ではないようだ。




その時だ。



着信が入る。



「あ、はい、もしもし......」


『怪異が発生した。そちらで対処をお願いできるか?』



どうやら、仕事の電話だったようだ。



あまりにも急すぎるが、仕事柄仕方がないのかもしれない。




「わかりました。国防省の方に一旦帰って装備を受け取ります」



『分かった。折り返し詳細を連絡する』




そういうと、電話が途絶える。




「仕事の電話ですか?」



横から芹が問いかけてくる。



「そうだよ。急すぎるけど行くしかないよね......」


「この組織は人使いが荒いですから」




芹がそういうと、冗談じゃ済まないような気がする。



ともかく、行くしかなさそうだ。

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