復帰-3
「ミナト......起きたんですね」
芹はゆっくりと湊に近寄る。
「うん、セリは怪我大丈夫なの?」
「私のことはいいんで......ミナトは怪我の具合はどうなのですか?」
「大した事はないよ。肋骨折れたくらいだから」
芹は安堵からか、軽く息を吐いた。
「ミナトちゃんのこと毎日見に来てたんだよ」
そう言ったのは、東雲だ。
ボロボロの身体で、奥にある椅子に座って自分で入れたコーヒーを飲んでいた。
「見に来てくれてたんだ。ありがとうね」
「別に深い意味はありませんので、お気になさらず」
そう言って軽く受け流す。
「にしても上層部のクソどもがみんな死んで、良かったね。私は安心したよ」
どうやら、先の襲撃で上層部は巻き添えで死んだみたいだ。
「今更です。もう私はどうも思いません」
芹はもう社会復帰できない身体だ。
もう遅いのだ。
芹は徐に湊の元まで向かう。
「......っ」
ゆっくりの湊へと身体を寄せる。
「急などうしたの?」
「いえ、しばらく一緒に寝ていたので、くっついているとなんか落ち着くんです」
そう言ってゆっくりと目を閉じる。
「
湊は、くっついてきた芹を抱擁する。
今までずっと辛い事を経験してきた芹は、内側に溜まっているものが必ずあるはずだ。
その捌け口に少しでもなれるなら、大抵のことは協力してみせる。
「もしかして......二人はそう言う関係なの?」
東雲にそう突っ込まれるが、側から見たら否定しづらい。
その時だ。
部屋の扉をノックする音が聞こえる。
「あっ、どうぞ」
東雲がそういうと、スーツをきた高官らしき男が姿を現した。
「南雲湊さん、それと芹さんはおられますか?」
「いますけど、貴方は?」
「国防省の者です。今後の方針について説明させて貰いたいのですが、お身体に差し支えなければ付いてきて貰えますか?」
「私は大丈夫だけど、セリは?」
「私も問題ありません」
芹と湊は顔を見合わせる。
二人は男へついて行く事になった。
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