13= 終末のち(とある調査員の記録)
遅かった。
この前の時点では、確かにたくさんの知的生命体の住む星であったのに。
……無人機の記録によると、太陽光で自動に動く兵器によって、この星の『人』は滅ぼされてしまったという。
戦争を有利にしようとした国が開発したらしい。
ただ、当のその国はとっくに滅び……しばらくの間は、機械と人の無意味な戦争が繰り広げられていたらしい。
最後に残ったのは小さな島に暮らす人々。
何とか細々と生きながらえていたものの、結局最後はその人達も各地から集まる兵器の圧倒的な量に、為す術も無かったという。
運が良かったのか運が悪かったのか。
せめて基地に居た兵器が最後の人々の元に着く前にたどり着けていれば、彼らを救えたのかもしれない。
が……正直、自業自得にも見える所もある。
僕らは滅亡寸前の星を救う仕事に就いているし、もちろん誇りと慈愛の心を持ってどんな任務もこなして来た。
だからこそ、時々思ってしまう。
救う程の価値があるのか?と。
機械は壊れ、やがて森に飲まれる。
隠れて怯えて暮らしていた動物達は、ゆっくりとその生き様を思い出していく。
僕は時々思う。
この場所に、『人』は本当に必要だろうか?
……すまない、忘れてくれ。
残酷で優しいくちづけを【完】
残酷で優しいくちづけを センセイ @rei-000
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