第8話

 性別が好きだった。

 誰かが言った気がする。

 性別が苦しかった。

 そして呟く。

 でも、きみのたすけになるのなら。

 ぼくはなんにでもなろう。

 わたしにちからをちょうだい。

 どうか自分に、料理を作ってくださいな。


 なんだろう。自炊なんかしない。

 ……なんでもいいんだろうか。

 卵かけご飯や納豆ご飯は?豆腐とご飯混ぜたやつは?ねこまんまは?

 だれかに、なにかを、つくる、って。

 とくべつなことだから。

 つくらない。

 オレは、わたしは、そんな女っぽいことしない。作らないよ。


 そう言うと、なんだか責め立ててはいけない純粋な存在がお腹を空かせているようで。このままでは力が出ないようだから。

 仕方ない。

 けど、やっぱりわたしは、なにも作らなかった。

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