第7話 苺の香りに抱かれて眠る


『ひと足先にダイニングを後にしたお嬢様のお話』

(‥あんまり長居しても色々言われてるだけだもんね‥)

いつも継母とは別に食事をとる。

今日からこの屋敷にきてくれた執事さんの歓迎会っていう事で

継母が開いたもの。


ー折角だからと思って

参加したけど


タクトさん

ー引いたかな‥

同じものは食べれないし

明らかに煙たがられてるし‥


最後まで座っているが

礼儀かもしれないけど

自分だけ食べ物がないのに

そこにいるのも虚しい‥


「はぁ‥何が正解だったか

分からないけど仕方ないよね」

ポツンと呟いた独り言は

誰もいない廊下に消えた。


あ、そうだ‥

寝る前に彼は何か飲みたいかな‥

マリさんに頼んで聞いてもらおう。


メイドに託けを頼んで

3階の自室に戻った。


『こちらは継母達と食事会を終えた執事の話』

ーはぁ。疲れた。

料理自体は申し分ないのに

やはり一緒に食べる人間によっても

食事の味は変わると再認識する。


自室に戻ろうとすると

メイドに声をかけられる。

「お嬢様、途中で抜けられたようで

どうか気を悪くなさらないで下さい。」

そういうメイドに

特に気にしていないと答える。

(まぁ‥あの場は早く抜けて良い場面だと自分も思う。)

ー自分が抜けたいと思ったのなら気持ちを最優先すべきだ。

無理する必要はない。


寝る前にお飲み物は召し上がる方ですか?

と聞かれ

ー必ず飲む派

と答え自室に戻った。


自室に戻り

シャワーを浴びて

ダラダラ寛ぎながら考える


明日は学園‥

形だけでも執事就任後

初めての登校だ。

自分の主人は体調の関係もあり

在宅で授業を受けるらしい。



『執事ってお嬢様の身の回りの世話もあるじゃない?うちの娘には一切しなくていいわ!なんでも好きな事をしてくれていい。』

ー形だけの執事でいいから。

本当に幼少期の約束通りになっていた。


ーコンコン

ドアを開けるとお茶を持ったメイド。

お茶をお持ちしました。


温かい紅茶。

爽やかなストロベリーフレーバーが

さっき感じた胸焼けを

洗い流してくれる気がした。


この屋敷の紅茶は全般として美味だ

と感じた。


-ベリー系の紅茶か‥

苺が入っているのが自分好みで

芳醇な甘さを感じる。

よく眠れる気がした。




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