第8話 ホットケーキみたいに温かい
まだ薄暗い朝‥
AM 5:30
毎日、時間になれば彼女の目は覚める
身体が覚えているようだ。
んーー‥起きないと
肌寒さが残る季節。
もう少し布団にくるまりたいのが本音。
寒いのは苦手だが、
意を決して上半身を起こす。
「おはようサブレ。」
隣で寝ているトイプードルの
毎回起こしてしまうのが気の毒だけど
気持ちよさそうに伸びをする彼女に
癒されて部屋を後にした。
お嬢様の1日は洗濯から始まる。
そうなったきっかけは
『あなた‥前妻の子とはいえ良い身分ね。病気の治療費もかかるし‥』
という継母の言葉。
ーメイドさん達は1人分増えたところで変わらないって言ってくれるけど‥
(自分のことは自分でやらないと。)
彼女のポリシーでもあった。
料理はシェフの兼ね合いがある為、
キッチンを借りる程度に留めているが
家事全般はこなしていた。
洗濯は外に干したい。
お日様の匂いが大好きだから。
(‥あ、タクトさんの洗濯物も出してもらうように言わないと)
自分のお客様の洗濯物。
継母に何かいわれてからでは遅いしね。
洗濯を干し終えキッチンに向かう。
この時間であれば自分の好きなように
使用できる。
塩分量に気を配りながら料理を作る。
(今日はパンケーキにしようかな。)
粉と卵を混ぜて‥
フライパンで焼きていく。
ふんわり美味しそうに焼けた。
「うん。我ながら美味しくできた。」
と呟やきながら急いで食べ終える。
沢山作りすぎてしまった場合
余った分は置いておけば
誰か食べてくれる。
いつものようにラップに手を伸ばした時‥
「おはよう。」
ーーーーわっ!
急に声をかけられたので驚いてしまった。
後ろを振り返ると
タクトさんが立っていた。
「お、おはようございます。
早いですね‥
あまり寝られませんでした?」
と話しかけてみる。
「いや、昨日変な時間に昼寝したから。
それ今から食べるの?」
ホットケーキを指差しながらいう。
「あ‥私はもう食べ終わって。
作りすぎたからラップしてるんです。」
といった。
「じゃあ、食べるわ。」
という彼‥
シェフにご飯頼みます!
といったけど、お腹も空いたからこれでいいと話しながら珈琲の用意をしている‥
慌ててサラダとスクランブルエッグを
作った。
「ホットケーキ久しぶりに食べる。」
いただきますと食べ始めた彼。
「洗濯ここに入れて
夜になったら部屋の前に出して下さい。」
昨日いうの忘れてました。
頷く彼。
食べた食器はそのままにして下さい。
学園にはここから30分くらいです。
車は玄関に停めて待たせます。
ーーいってらっしゃい
何年ぶりに使っただろう。
思い出せないけど
心が喜んでいるのは分かった‥
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