第5話 洋館の中にモノトーン

屋敷を案内するというお嬢様。

広い廊下は細部至る所に装飾が

施されている。

作家が丁寧な仕事をしているのは

一目で分かった。


古いアンティークな洋館‥

(あんまりこういう雰囲気は好きじゃないが仕方がない。)

理由は実家を思い出してしまうから。


「お部屋ここです。」

赤っぽい木製のドアを開ける彼女に

中に通される。


(‥執事にこの部屋宛てがうのか?)


白、青、黒を基調とした

シンプルなルームコーディネート。

収納も充実して

PC

スピーカー

テレビ

などの家電も一通り揃っている。


何より

クイーンサイズのベットが鎮座しているのは驚いた。


(家の造り的にアンティークな家具が置かれた女っぽい部屋と思った‥)


「ここは誰か使っていたんですか?

かなり広いですけど使っても?」

一応、断っておく。

「はい!

気に入って頂けると嬉しいです。」

と返事が来たので

快く使わせてもらうことにする。


「あの‥1つお願いがあるんです。」

と話してくる彼女に

「なんですか?」

と答える。


「敬語‥やめて頂けると嬉しいです。

できれば‥もっと仲良くなりたい。」

という‥


お嬢様は執事の事を下に見ていると

色んな奴を見ていて感じていたが‥

こいつは何を考えてるんだか。

(母親と同じで変わった奴‥)


一応、お嬢様からの頼みだ。

了承してやる事にした。


荷物の整理などもある。

一旦、夕食まで部屋でゆっくりしたい

と希望を伝える。


「はい。ゆっくりして下さい。

もし何か不便があれば私かメイドさんに遠慮なく言ってください。」

そういうと彼女は部屋を後にした。


ドサっ。

実家からこの屋敷は距離がある。

旅の疲れを癒そうとベットに横になる。


‥心地よい。

シーツからは太陽の匂いがした。

(丁寧に整えられてるな‥)

部屋をゆっくり見てみる。


青いカーテンは古そうだが

大事に扱われている。

その他はおそらく

俺向けに模様替えしたのだろうか‥


(ここの屋敷には

あの女と継母とその娘が住んでる

って言ってたな)


挨拶にすら現れない継母達が

彼女の執事のために部屋を模様替えする

事はないだろう。


(そうなると‥あの女が自分でやったか)

ーなかなかやるな。

そう思いながら意識を手放した。






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