第4話 初めてのプレゼント
今日で16歳の誕生日を迎える私。
ー東雲なな
心臓の持病の為、20歳まで生きられない。
それでも生きてる理由は
10歳で亡くした母との約束‥
"大きくなったらお客様がくる。
愛のあるおもてなしをして"
そう言い残して亡くなった
『ねぇ。お母さん、お客様ってどんな人?』
『それは来てからのお楽しみよ。』
何度か聞いてみたけど、 その度にはぐらかされてしまい‥ お客様が誰なのか教えてくれることはなかった。
(‥困った。 誰かも分からない相手をおもてなしって どうすればいいんだろう‥)
お茶の淹れ方
焼き菓子の作り方
お花の生け方
テーブルコーディネート
料理
洗濯
掃除
等々‥
誰がきても良いように
自分なりにできる事を学んで
今日まできた。
ーーカリカリカリ
珈琲ミルで豆を挽く‥
『自分は飲まないけど‥練習してよかった』
メイドのマリさんに試飲を頼んで
渋すぎる珈琲を出して困らせた事もあった。
今は上手く淹れられる自信はある。
昨日焼いたシフォンケーキとクッキーも添えて
お茶の時間に備える。
(多分、私がもてなす相手はこの人の事だと思う)
人生初めての客人。
残された時間的にも自分宛の来客は
彼が最後だろうと確信していた。
車が到着すると知らせが入る。
急いで珈琲の仕上げにかかり 応接室へ向かった。
(緊張する‥‥どんな人だろ‥)
ーーコンコン ノックをしてドアを開けた。
(‥うわぁ。なんか妖艶な人がいる‥)
第一印象はそれだった。
「天上タクトです。よろしく。」
手を差し出されたので 慌てて握り返した。
「今日は誕生日ですね?おめでとうございます。」
そういって渡された紙袋に
一瞬言葉を失ってしまった。
‥プレゼントだ
理解するのに数秒かかってしまった。
母以外からもらったことはなかったから
「‥あ!ありがとうございます!」
咄嗟に45度に体を折り曲げたけど
あなたに感謝の気持ちはきちんと伝わったでしょうか‥
ピアス‥開けてないんだけどな。
リボンを開けると姿を現した2つのハート。
それでもとても嬉しかった‥
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