第2話 初めての来客

『聖ウリエル学園』

執事を従えたお嬢様だけが入学を許可される超名門校。

東雲奈那もその1人。

肩書は代々続く財閥令嬢。

財閥令嬢ながら実の両親を亡くした彼女。

亡くなった母の遺言と体裁を気にする継母の図らいで学園に在籍する事ができている。


幼稚園からエスカレーター式の

『聖ウリエル学園』

15歳までは男子は執事業を学ぶ為、男女校舎は別。16歳になると女子1人に専属執事として就任することになっている。

15歳までの成績など色々考慮され、

執事とお嬢様の組み合わせが決まる。(一部親の計らいで例外も存在するらしいが‥)


進学1ヶ月前に分厚い本が届いた。

執事の写真やプロフィールが書いてある。

同級生の女の子達はどんな執事がくるのか興味があるらしい。

分厚い本を教室に持ち寄ってあれこれ話してた。

「執事の特技は射的らしい」

「私の執事はお茶が得意らしい」

等々。


一緒に生活するんだし、それは気になるよね‥

昼間の教室の会話を思い出しながら

仕上げのベットメーキングを終える。


私宛の本もあるけど、まだ開いてないな……

継母と義妹が勝手に読んで

『うわー、、、1番成績悪い人みたいよ?

まぁ、あなたみたいな出来損ないに就きたい人なんていないわね。』

と楽しそうに話してたっけ‥

ある程度は読んだ方が良いのかとも思ったが、百聞は一見にしかず。

会ってみないとどんな人かなんか分からないし。


それよりも私にとって重要なのは

母との約束‥

〝大きくなったらくるお客様。愛のあるおもてなしをして″

に該当するのは多分‥彼だと思う。


仲良くなれたら嬉しいな……


ふと窓の外に目を向けた。

『今日は月が綺麗な日だな………』

幾望の月が輝く夜。

かなりの時間部屋の掃除をしていたんだと気づいた。

優しい月の光に包まれて彼女は静かに目を閉じる。


部屋‥気に入ってくれますように。

長年使った母の部屋を模様替えするのは惜しかった。


それでも、彼に喜んでほしいと思った。

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