第8話 妻は夫の職場に乗り込んだ
お腹がだいぶ大きくなってきて
赤ちゃんの名前を考えて沢山悩んだ
画数はあまり気にしなかったが一応調べたり
ネットで人気な名前ランキングを見たり。
りり(んーゆあ…のぞみ…しゅん…こう…どれも可愛い名前だなあ。
人の事も愛せて自分の事も愛せる
そして皆んなに愛してもらえるような子になってほしいな)
りり「ねえ、想太!赤ちゃんの名前なんだけどさ、何がいい?」
想太「そうだねー。スカイとか!スカイとかカッコよくない?」
りり「いやースカイは私的に違うかな。他に考えてる名前ある?」
想太「一生使う名前だからパッて出てこないよね」
りり「まあまだ日にちあるからゆっくり決めよう。」
想太「てか、りり里帰りする?」
りり「私、里帰りするつもりないよ!」
想太「でも何かあった時、心配じゃん。俺仕事だし。
陣痛が始まってもすぐ帰ってこれるかわからないし」
りり「まあ、そうだよね。心配なら実家でもいいけど。」
想太「じゃあ決まりね!」
りり「わかった!あっちなみにさ、何度も言ってるけど陣痛きて分娩台に乗ったら義母は入れないでね。絶対に!」
想太「わかった入れないよ!」
そうして予定日の1ヶ月前頃、私は念の為早めに里帰りをした。
数日が経った頃想太のご飯事情が気になり
何も言わずに帰ってご飯を作るなんとも嬉しいワクワクサプライズを考えた。
りり(何作ってあげようかなあ♪ろくな物食べてないだろうし、肉じゃがとか?ポテトサラダ作ろうかな?味噌汁は欲しいよねー)
こっちがワクワクしながらまだ想太は仕事中で帰ってきていない家に大きくなったお腹で向かった。
りり(やっとついた〜)
ガチャッ
中に入ると知らないトートバッグが置いてあった。
りり(ん?なんだこれ?想太の親が来たのか?)
私は中身を見てみた。
そこには化粧ポーチにカラコンのケース、歯ブラシ等が入っていた。
そう、知らない女性のお泊まりセットが入っているバッグだった。
私は心臓をバクバクしながら怒りでいっぱいになり
部屋に飾っていた想太の誕生日にあげた名前入りラベルの空の焼酎瓶をタンスの角で叩き割り想太の職場に向かった。
私は怒ると周りが見えなくなるタイプ
誰と不倫したかはすぐわかった。
確信はなかったがすぐに頭に浮かんだ。
りり(あの時LINEでイチャイチャしてたあの女だ。名前も分かってる。今日いるかもしれない。2人とも追い詰めてやる)
何も考えずにお泊まりセットが入ってるバッグを持って想太の職場に行った。
以前に何度か飲み会で一緒になった子が
カウンターにいたから聞いてみた。
りり「ねえ!想太どこにいる?」
カウンターの子「想太さんは今休憩に入ってるよ!多分もう少ししたら休憩終わって出てくると思う」
りり「わかった!ちなみに斉藤真奈ってやついる?」
カウンターの子「真奈ちゃんは遅番だよ!」
りり「そっか。わかった。じゃあホールで想太待っとくわ」
大きなお腹で機種のチラシを見ながら立って待っていた。
他のスタッフがチラチラ私をみてくる。
どうやらお腹が大きいから気になって話しかけようか迷っていたらしい。
想太が休憩から帰ってきた。
りり「あんた何してんの?何このバッグ。ふざけんじゃねーよ。」
想太「落ち着いて!一旦外出よう」
私達は入り口に向かった。
お客さんが出入りする中キレた
りり「不倫なんかしやがってなに考えてんの?
もう少しで産まれるっていうのに。バカかよ。気持ち悪い」
想太「ごめん、帰ってから話そう」
りり「は?帰ってからは話す事ないから!」
想太「今は仕事中だし、迷惑になっちゃうから」
りり「は?そっちが迷惑なんだけど!もういいわ」
私は戻って職場の駐車場に停めた車の中で泣いた。
コンコンッ
誰かが車のドアをノックしてる…
そこには想太の職場の店長とマネージャーだった。
私はドアを開けた。
マネージャー「大丈夫ですか?」
りり「大丈夫じゃないです。」
マネージャー「そうですよね。何があったのか教えてもらえますか?」
りりは今日の出来事を泣きながら話した。
マネージャー「そうだったんですね。相手の名前は分かりますか?」
りり「斉藤真奈ってやつです。」
マネージャー「わかりました。私達も本人に事実確認をしなくてはいけないので分かり次第対応します。
想太くんに関しては今日はすぐに帰らせるので
奥さんも今日はお家に帰ってゆっくり休んで下さい。」
りり「わかりました。」
そうして私は家ではなく実家に帰った。
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