第6話 誕生日は私の嫌いなチーズケーキ



想太は仕事で夜中1時以降に帰ってくる事が多い

3時に帰ってくる事もある。

早番の日でも帰ってくるのは19時や20時以降の時もザラにある。


帰ってくるのを楽しみに毎日ご飯を作った。


今日は何がいいかなあ?


今日のお弁当美味しかったかなあ?


想太の仕事のお見送りは必ず

「頑張ってね!気をつけてね!いってらっしゃい」

この3点セット。


何かあった時後悔したくなかったから

喧嘩してモヤモヤしてても必ず"気をつけて"を伝えていた。



ある月生理がこない月があった。


妊娠していた。



私は凄く嬉しくてワクワクしてすぐにお母さんに報告した。


りり「もしもし?お母さん!私妊娠したよ!」


母「えーー!本当!?良かったねえ!これから頑張ってね♪」


りり「ありがとう〜!頑張る!!」


凄く喜んでくれた。

想太にもすぐ報告したくてウズウズ。


りり「帰ってくるまで内緒にしとこっ♪」


想太からLINEがきた。

想太【今日飲みに行くからご飯いらないよ!】


りり(なんだあ…一緒に喜びたかったのに)

りり【わかった。何時頃帰ってくる?】


想太【わかんない!そんな遅くならないよ】



想太はお酒が大好き

仕事から帰ってきて必ずビールを飲み、次に焼酎

飲まない日はない。

皆んなとわちゃわちゃする飲み会の場も大好きだ。


だからよく飲みに出かける。



直接伝えたかったが、言いたくて

伝えたら飲み会の途中で帰ってきてくれるかも…

そんな期待を少しだけしてLINEをした。


りり【飲みの時にごめん!妊娠した!】


想太【まじ?!】


妊娠検査薬の写真を送った


想太【わかった!もうちょっとしたら一回帰るよ!】


りり(一回帰る…?まあ付き合いもあるし仕方ないか)


1〜2時間したら想太が帰ってきた。


想太「妊娠したんだね!りり、産もう」


りり「うん!産むのは当たり前なんだけど!産むって事は私達好きって気持ちだけじゃ、やっていけないよ!大丈夫?お金の事もあるし」


想太「大丈夫!頑張ろう!とりあえず人待たせてるから行ってくる!」



そうして想太はまた飲みに行った。


違う日も

想太「今日仕事終わったら職場の人達と飲みに行ってくるから!」


想太「今度の金曜、職場の人達と飲みにいってくる!」


想太「飲みで帰りが遅くなる!」


ちょくちょく私も想太に連れられ職場の人達と飲みをしたりもしたが毎日帰りが遅い事に不安を感じた

終わる時間は大体把握している

残業が多い事も知ってる


でもあんまりだ。


寂しかった


でも伝えてもどうにもならなかった。

妊娠中は身体を動かすために1人でよく散歩をした。

夜散歩をしていると夜景が綺麗な穴場っぽい所を見つけた。

私は昔から夜景が大好きだ。

誰もいない部屋の中に1人で居ても寂しくなるだけだから

何度も1人で夜景を見に行った。


想太「たまにはドライブする?ずっと家にいてもつまらないんだから今日から行ける日は毎回ドライブ行こうよ」


りり「まじ?行きたい!!ありがとう」



でもそんなの2回ぐらい行っただけで

行かなくなった。


想太が誕生日の日には何が喜ぶか沢山調べて

名前ラベル入りの焼酎をプレゼントした。


バレンタインデーの日には甘いものが好きじゃない想太には

下着をプレゼントした。


想太「りりの誕生日には休み取って職場の人達入れて盛大に祝ってあげるからね♡楽しみにしてて!!」


この言葉が凄く嬉しくて誕生日がくるのを楽しみにしてた。



想太「ごめん、りりの誕生日休み取れなかった」


りり「えーまじか!まあ仕事だから仕方ないよね。早くは帰ってこれる?」


想太「うん!早番にしてもらったから早く帰るよ」



ーりりの誕生日の日ー


りり(想太遅いなあ。もう19時だよ…まだかなあ。)


20時

想太【ごめん!今終わった!ケーキ取りに行ってから帰る!】


22時帰宅。


りり「おかえり。もう誕生日終わるけど?(笑)」


想太「ごめん、遅くなった。はい!これプレゼント」


包装されてる中には

ゼブラのバスルーム

絶対想太が選ばなそうな鞄


ぶっちゃけバスルームも鞄も私の好みとは真逆


りり「あ…ありがとう!可愛い!この鞄想太が選んだやつじゃないでしょ?」


想太「うん、母ちゃんと一緒に行って母ちゃんが選んだ!」


りり「あっそうなんだ」


想太「はいっこれケーキ!」


中には私が好きじゃないチーズケーキのホール

想太には前から何度もチーズケーキは好きじゃないと伝えていた。


なんなら誕生日ケーキ何がいい?と聞かれた時も

チーズケーキは嫌だ。と言ったはず。


わがままかもしれないけど、、、

鞄はぶっちゃけ可愛くない。

可愛くなくても想太が選んで欲しかった。

ゼブラのバスルーム…派手すぎる…

チーズケーキ嫌だって言ったのに…


でも想太の気持ちを踏みにじりたくなくて

さすがに言わなかった。


前に言われた言葉が頭をよぎる

盛大に祝う…

楽しみにしてて…


全部が逆でなんだか悔しくて悲しくて涙が出てきた。

私は泣きながら

りり「ありがとう」と伝えた。


でも男性には分からない女心


想太「泣くぐらい嬉しんだ!そんな喜んでくれてよかったわ」


そう私に言った。





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