第23話 秘境赤ずきんの森の城で
* * * * * *
名無しの金平糖とナイトが【秘境赤ずきんの森】ダンジョンの攻略をする最中──
『ピロン』
ナイトの腕時計型のデバイスが鳴った。メッセージを開いて見れば、ラブリーからで、そこには【子供達を全員救助したよ!みんな無事だから安心してね】というメッセージが届いていた。
「ラブリー達はやったみたいだ!こっちも急くぞ!」
「了解!」
ナイトは名無しの金平糖と共に戦闘型ウサぴょんジュリナを使用し、城のダンジョンを縦横無尽に探索していた。戦闘型ということもあってか、数々の仕掛けや城内にいる兵士を難なく突破するも、肝心の赤ずきんの姿が見つからなかった。1階と2階の部屋は探し尽くしたが何もなかった。
「最初見た時、広い城だと思ってたが、見てくれだけだったな。もっと階がありそうな外観なのに、1階と2階だけの些末な造り……造るのを諦めたのか?」
名無しの金平糖の疑問にナイトは否定した。
「いや、そうじゃねぇ……たんに気に食わなかっただけだ、俺がな」
「何だその理由!ひでぇ!」
名無しの金平糖が突っ込むとナイトはいいんだよと口にした。
「俺が拘りたかったのは城じゃねぇんだよ。そもそもこれはオプション程度だ。アイツ等が勝手にゲームのミッションに組み込んだから、変なことになってんだよ」
ナイトが気に食わないように言う中……
『助けて……誰か、助けて……』
か細いながらも助けを求める声が聞こえた。
「ナイト!今の……」
「ああ、赤ずきんだろうな」
そしてナイトと名無しの金平糖は声がした先の方へと歩いていく。しかしそこには扉はなく、一枚の大きな姿見が置いてあるだけだった。
「鏡しかねぇな」
「うーん。もしかして、この鏡は通り抜けできるとか?」
名無しの金平糖は試しにウサぴょんジュリナアバターの腕を伸ばし、手のひらを鏡に押し付けてみる。すると不思議なことにそこだけ波紋状に広がり、通り抜けできるようになっていた。
「おおっ!ビンゴ!」
「やったな!」
名無しの金平糖とナイトはハイタッチし、それからウサぴょんジュリナアバターをそこへ侵入させていく。するとそこには暗く狭い空間が広がっていて、フードを被った少女が1本の柱に手足を拘束されて繋がれていた。
「助けにきたよ」
ウサぴょんジュリナが少女の前に屈んで優しく切り出せば、少女は顔をあげて口にした。
「みんな、みんな死んじゃった……」
「え……?」
「私が1番になっちゃったから、そのせいで……他の子達がみんな、死んじゃった……」
少女はポロポロと涙を零して語った。この子の前にも誰かがいたことを物語っていた。とりあえずウサぴょんジュリナのアバターを使用して少女の手足の拘束を解いた。赤ずきんアバターながらも何処か人間味のある少女だが、一応確認で訊いていく。
「君が、赤ずきんで間違いない?」
すると少女は頷いた。そして立ち上がると、ウサぴょんジュリナの手を取り歩きだし「こっち」と言った。少女について歩いた先には壁が見えたが、壁はホログラムとなっており、そこは普通に通り越せるようになっていた。そして視界に見えたのは数々の、全世界から奪われた大事なリワードの山だった。
「ナイト!」
「ああ!」
そしてナイトは直ぐ様、そのリワードを解放していく──
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