秘密

だらく@らくだ

私有地にラーメン屋を建ててはいけません



「しかしまさか異世界でも同じくラーメン屋さんやってるとはね。びっくりだよ」

「そうですか、ご注文は?」

「にぼにぼスペシャル双子味玉で」

「はいよ」

「メニューも変わってないんかい。材料とか

どうなってんの」

「秘密です」

「秘密じゃマズイでしょ、大体ここ四天王の

私有地なんだけどいつあんた店建てたん」

「秘密です。と言うかあなたこそ四天王の

私有地によく入れましたね」

「そりゃ当たり前だろ、俺が四天王だし」

「へーあのサラリーマンだった人がねー」

「よー覚えてるなおい。んで、あそこに飾ってある鎧はどうやって入手したわけ?」

「秘密です」

「秘密じゃ困るんだよ……あれはかつて魔王を完膚なきまでに叩きのめした戦士が付けてたとされる鎧でな、今の魔王様も探してんだよ」

「黙秘します」

「言い方を変えたってダメだからな。とにかくあの鎧の入手経路を聞き出すまでは俺も帰らんからな。早く話した方がいいぞ」

「謎です」

「そっか謎か……んなわけあるかい!!入手経路謎の鎧が有名人のサインみたいに飾られてるかってんだ!」

「お客さん、餃子とかは?」

「あ、ああ。じゃ、一皿」

「まいど」

「……」

「この世界に来る前から疑問なんだが、あんたは一体何者なんだい。何年経っても見た目は変わらないし、客は全然入って無いのに店はいつまでも潰れないし」

「秘密です」

「言うと思った。てことはこの世界にどうやって来たのかも」

「忘れました」

「それは忘れちゃマズイでしょ、あんたラーメンの味以外にマズイこと多すぎるよ」

「褒めないで下さい、作業を間違えますので」

「褒めてねぇよ。でもまああれだな」

「別の世界だとしても店主に会えて俺は」

「はい、餃子お待ちどうさま」

「タイミング!!」

「……………」

「餃子どうですか?あんま頼む人居なくて久しぶりなんですが」

「いや美味いよ、美味いけどさ」

「なんですか」

「四天王の私有地でやらなくても良くないか?もっと普通の街でやった方が客来るだろう」

「と言われましても」

「大体繁盛したら俺が困る。なんせここ、俺の私有地だからな!全く私有地に人が入ってますしかもみんな一つの店を目指している様ですなんて部下から聞いた時は耳を疑ったがまーさかそれが知ってるラーメン屋だったとはなぁ」

「そんなにここが気に入ったか?」

「……」

「秘密です」

「ま、戦いならともかくラーメン食べに来た奴なら俺も許可するか。俺も食べたいし」

「ありがてぇこった。ほい、にぼスペ双子

お待ちどうさま」

「略すなよ……いただきます」

「うまっ……相変わらずだな」

「当たり前でしょ、私天才ですから」

「自惚れっぷりも変わらねぇなおい。つーか

別の世界でも変わらない材料に変わらない味

一体どうなってんだこの店」

「企業秘密です」

「だろうな!てか値段幾らだっけこれ」

「1576モルドです」

「て事は日本円に直すと……27円!?なぜ

そんな安い値段に」

「人情です」

「とんでも無い野郎だなあんた。しかし思い出すなあここで一緒にラーメン食べた」

「ツインテールの黒髪さんですか」

「そうそう、会社の同僚の……って!俺より先に言うな馬鹿!」

「すいませんね、でその人とはその後どうなったんですか?」

「それは……」

「秘密です・だよ!!」

「ふふ……被っちゃいましたね」

「てめぇ、絶対ここから追い出してやるからな覚えてろよ!」


おわり

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