干し飯:星ほしい金平糖
星欲しい。まぁ、このサイトに何かを投稿したことのある人ならば誰もが思いつくであろう洒落だ。
私も星は欲しかった。
見栄をはってしまった。今でも欲しい。
ただ以前のように貰えなくてむせび泣くということは無くなった。
ひとえに星やハート等を投げてくださる方々のおかげである。本当にありがとうございます。
さて、登録したての頃、ある程度調べたのだが、星やフォローなどランキングに関連するものがつくとしばらく注目の作品にのる抽選券みたいなのがもらえるらしい。
これがあるとき以降、ユーザの読書傾向に合わせて細分化したそうで、私も自分の作品が載っているのを何度か確認したことがあった。
ただ私が確認したときはたいていPVが0で結局注目される位置に載っても初見未見の方々に読ませるだけのひきがなければしょうがないよねということを確認したわけだ。
カクヨムの星についてこれ以上語ってもすでに指摘され尽くし、それでもなお指摘され続けている話を繰り返すことになりそうだ。
だから、私は別の星の話をしよう。
私は都会のもやしっ子で夜空の星に感動した記憶がない。空の星は常にまばらでネオンにかき消され弱々しく光っているだけであった。
夜空の星をはっきりと認識したのは大人になってからのことである。外国で満天の星空を眺める機会があった。
ああ、金平糖をまきちらしたようだ。
食欲に突き動かされている人間だけどぎりぎりロマンチックな感想ではないか。私は自分を褒めてみた。
当時、私が想いを寄せていた子は短歌の話をたまにした。
散文もだめだが、韻文になるとさらにだめなうえに語彙力が致命的にない私はただ素敵だねというくらいしかできなかった。
ああ、あの子に一度歌を贈ってみたい。この夜空を見たときの感動を彼女に届けたい。
金平糖をまきちらした夜空をながめながら、私はひたすらにうめいた。
結局、一首もできなかった。それで良かったのだろう。すでに私は玉砕していたのだから。
見知らぬ虫の声を聞きながら、私は生み出すことのできなかった歌と彼女のはにかんだ笑顔に思いをはせた。
空に撒き散らした金平糖に手が届けば、あの子の笑顔を独り占めすることもできたのかもしれない。もちろん、そいつはかなわない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます