フラウジーニャ:ねこ

 フラウジーニャ。にゃーにゃーにゃー。

 犬派であるが、猫が嫌いとかいう訳では無い。猫も大好きである。

 他所様のうちにいったとき、そこに猫がいれば見て楽しむし、お猫様の許可が出た場合には喜んで触らせていただく。

 実は一度だけだが猫カフェというものにも行ったことがある。

 近づいてきてくれた猫にマッサージをしてご機嫌をとっていると、女の子のいるお店に飲みに行ってご機嫌でお話をするおじさまの気持ちが少しだけわかったりもした。

 多少わかっても、見知らぬ人と話すとストレスでおそろしく疲労する私は女の子のいるお店には絶対に行けない。そんな私が鼻の下を伸ばして猫なで声でミャーコちゃーんとか言える天国。貢ぎに貢いで身を持ち崩すかもしれないと猫をなでながら思ったものだ。

 しかし、猫カフェのほうもその一度きりで二度と行くことはなかった。

 どうしてかというと、途中から涙と鼻水がとまらなくなったからである。感涙ではない。アレルギーだ。

 犬の毛まみれの家で育ってきた私に猫の毛でアレルギー反応がでるなんて。信じられなかったが、アレルギーの原因はどうも細かくわかれているらしい。

 かくして、私の猫飼いへの夢は閉ざされ、私は犬たちと一緒に暮らしている。


 ところで、うちの太郎丸(仮名)と次郎丸(仮名)は猫っぽいといわれることがある。

 あるいは柴っぽいとも言われる。

 ドッグランで愛想が悪いのだ。

 かわいいねと言われてもぷいっとそっぽを向いたまま。

 他の犬の飼い主が撫でようとしても、その手を避けてすっとどこかに行ってしまう。

 かと思えば、他の犬の給水タイムのときにちゃっかり後ろで順番待ちをして他所様の高級水を楽しんでいる。


 しかし、私は知っている。

 こいつらは猫っぽいのではなく、内弁慶ウチデレなのだ。

 私やカジンの実家などに行くと、ニコニコしてあいさつ回りをして、昼寝の際には添い寝をし、誰かがくつろいでいれば膝の上に乗せてくれと甘えている。

 ただ最近行くドッグランで何度も話しかけられているうちに大分彼らのガードもゆるくなってきたようだ。

 そのうち本性をあらわして「あなたのお家のおやつはなに? ボクたち、あなたのうちの子になってあげてもいいよ」とか言い出さないか少し心配である。

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