鯉の洗い:それは恋の話
おそらく惚れっぽい性格である。
少し優しくされただけで相手に好意を持つようなところがある。
もちろん、自分のその性格が大変気持ち悪いものであることを承知するくらいには理性があるのと、極度の人見知りのおかげで今のところリアルでもネットでもストーカーになってはいない。
教職課程の授業で一緒の班になった子に惚れたことがある。
かわいいなと思っても大学に入ったばかりの私にはアプローチ法すらわからなかった。
だいたい洋服をどこに買いに行くのかすら悩んでいた時期だ。
それで私がなにをしたかというと、班ごとに作るプレゼンテーション案で張り切ったのである。
綿密に調べ、現地調査もこなし、気がつけば最優秀賞に選ばれた。
当初の触れ込みでは、最優秀賞はそれを実行するということになっていた。そうなると、それを企画した班はそこで中心となって活動することになる。私は可愛いあの子と話す機会を増やしたくて、頑張ったわけである。迷惑なやつである。でも、プレゼン案ほぼ一人で作ったから許してほしい。
ちなみに教授の都合でそれが実行されることはなかった。理由は都合が悪くなったからなしというものであった。
私が教育学の一部教授に対して憎しみを抱くようになったのは言うまでもない。
逆恨みといえば逆恨みかもしれない。でも言いたい。いまだにおぼえてるからな◯◯!
はじめて付き合った相手も遊びに誘ってもらってから気になって仕方なくなった。
いや、その前から気になっていたのかもしれない。彼女がサークルの部室に来るのが待ち遠しかったし、一限の同じ講義の教室に向かう途中、たまたま一緒になったら、とても嬉しかった。だから、少しでも長く話していたくて彼女の好む音楽を自分でも聞いたりしていた。
そんな私だ。二人で遊びに行こうと誘ってもらってから、その子のことしか考えられなくなってしまった。
付き合い始めたあとに聞いたら、別にそのとき彼女はなんとも思っていなかったらしい。ただ本当にチケットが余っていたから、最近自分のおすすめの音楽を聞いてくれる私を誘ってくれただけらしい。
私もなかなか危ない橋を渡ったものだ。
今一緒にいる相手も笑顔で話しかけてくれたくらいが惚れたはじめであった気がする。
うん、惚れっぽすぎるな。
そうだ、捨てられたらここで告知しよう。その時、私を拾ってもかまわないという方がいらしたら、優しく声をかけてください。
尻尾をふって腹を出しますので。
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