枝豆:野球観戦と枝豆

 のっけからこんなことを言うのも何だが、私は野球を観ない。

 というかスポーツ観戦という趣味がない。

 そもそもテレビも持っていないのでオリンピックすら観ていない。

 自分がやっているスポーツは観るが、これはもう随分と昔にテレビから追い払われてしまったものなのでYouTubeで観ている。

 それ以外は自分の練習風景を撮った動画などを見るくらいだ。


 そのような私だが、それでも野球観戦をしようと思ったことがある。

 枝豆をつまみ、ビールを飲みながらテレビで野球を観ることに憧れたからだ。

 それが粋だと思ったわけだ。

 粋をめざして半可通にすらなれない。それが私である。


 ピッチャーとバッターの駆け引きを楽しもうと思っているのに、気がつくと無心で枝豆を食べている。

 野球は一切観ていない。

 まだ前半も終わらないうちに枝豆もビールもない。下手をすれば、表裏の攻防が終わる前にすべて平らげているのだ。

 枝豆を増やしてみる。テレビ画面を見ない時間とビールの空き缶が増えただけであった。


 スポーツバーにも行ってみたかった。

 でもこのような者がスポーツバーに行ってどうなるのだろう。

 画面に見向きもせず一人揚げ物とビールを黙々と胃に送り込んで、なくなったらいたたまれなくなって会計をするに違いない。


 つくづく明るい場所に向いていない。

 前世は河原の石の裏に住んでいたのではないかと疑うことがある。

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