じゃがいも警察が許さぬコーヒー:コーヒーを淹れる

 コーヒーはエチオピア原産である。

 じゃがいも警察という言葉があるそうで、じゃがいも警察は当然コーヒーも許さないだろう。

 このエッセイは異世界ファンタジーではないのでコースの締めにコーヒーが出てきてもご寛恕いただきたい。


 コーヒーをよく飲む。

 普段はコーヒーメーカーとあらかじめ挽いた粉だが、余裕があるときは豆を挽くこともある。

 煎るところからはじめたことはないが、そこそこ道具をもっている。

 カフェ・フィン(ベトナムコーヒーをいれる器具)とサイフォンまでもっているが使ったことはない。


 ベトナムコーヒーは淹れてみたいと思うのだが、いまいちやり方がわからない。

 ベトナムコーヒーで用いられるロブスタ種のコーヒー豆というのは日本ではインスタントコーヒーの原材料らしく、そもそも豆も見つけられない。


 サイフォンは父親にもらったものだ。

 しょうもないことで格好つけようとするあたりは遺伝だったらしい。

 なんとしょうもない遺伝であることか。

 父はほとんど使わずに飽きたようで新品同然のものが家の押し入れにしまってあるが、もう組み立ててセットする気力すらない。

 狭い部屋の狭いキッチンのどこにサイフォンなど置いておくところがあろうか。


 結局のところ、ペーパー、ネルあるいはプレスで淹れることが多くなる。

 新鮮な豆で淹れる時にぶくぶくと泡立ち盛り上がる山が好きだ。ドリップでぽとりと落ちてくる最初の一滴を見るのが好きだ。

 異性の前で格好つけようと必死にコーヒーの淹れ方を学んだが、結局役には立たずによくわからない趣味とも特技とも言えないものが残っている。

 ちなみにその手の格好つけよう系のものにカクテル作りというものもあるのだが、それについてはまたいつか別のときにでも書こうと思う。


 それにしても痛々しいやつだな、私は。

 なんだか目頭が熱くなってくる痛々しさだ。

 しかし、この涙はコースの締めのしばしのお別れを悲しむものと強弁して今回のコースは終わる。

 まぁ、かまってちゃんなのですぐに新しいコース始めるんだけどね。

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