玉子:時代は巡る
昔の映画や本の中で卵はごちそうであった。
卵が好きなだけ食べられるという文句でスカウトされるという話はだれのやつだっただろう。
しかし、自分で卵を買うようになってから、卵が高いと感じることはなかった。
特売で買った卵が常に冷蔵庫の中に入っていた。
それが昨今は、である。
栄養価やら用途を考えると、今でも無茶苦茶に高いものでないということはわかってはいるのだが、それでもかつての値段を考えると、なかなか手が伸びにくい食材になってしまった。
卵が安い頃はよく卵料理をつくっていた。
天津飯とカルボナーラが簡単で良い。
不器用な私は卵焼きをうまくまけないので、これはカジンにまかせる。
たまごサンドもパンがこんもりと膨らむくらいに盛り込んだ。
高くなった卵に比べると魚卵は安くなっただろうか。
子供の頃はイクラというのはとても高級なものであった。
スーパーで代用イクラというのを見つけて買ってもらったら噛み切れない代物であったなんてこともあった。
今ではそんなものは見つからないし、昔に比べると多少手が届きやすくなったような気がする。
卵が高くなったら、どこかで代用卵みたいなものが出てくるのだろうか。
時代はめぐる、あるいは進む。
いつの日か、培養肉しか食べられないあるいは食べていたものが実はなんとかでしたなんて未来が来るかもとか思うと、嫌だなと思う反面、ディストピア小説好きな私の心の一部は興奮していたりもする。
もしかしたら、ソイレント・グリーンとなって、皆様のお役に立つ日がきたりしてね。さぁ、僕の顔をお食べ。
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