アナゴ:穴を掘る

 Twitterのアカウントを開設しているが、ほとんど有効に使えていない。

 最近ではがんばって使ってみようとしている。

 最初は十一ヶ月くらいで五ツイートだった。

 瞬発力がないのと臆病だからなのだろう。ようやく少し呟きはじめた矢先にTwitterはもう終わりみたいな話が相次いで出てきて、自分の間の悪さに苦笑してしまう。この文章の初稿自体はその手の話が出てくるはるか前に書いたもので、あとからこの段落が追加されて、どんどん長くなっている。もうTwitterでなくなってXだそうで。

 

 私がもつ臆病さには二種類ある。


 一つは人に構ってほしいくせして、極度の人見知りであること、すなわち対人面での臆病さである。我ながら面倒くさい性格であるが、ねじ曲がった性根はそうそう直らないのだからしょうがない。

 人との距離感や間合いをはかるのが苦手だ。本当に間が悪い。緊張ですぐにどもるし、間の悪いタイミングで話し始めるせいで相手の耳に届かない(あるいは無視される)ことが多い。

 ああ、こんなことを書いていいのだろうか、今このタイミングで書いても大丈夫なのだろうかと考えている間に時は流れていく。


 別に人に話しかけなくとも一人でつぶやいていれば良いのではないかと思われるかもしれないが、ここで二つ目の臆病さが顔を出す。

 誰かの気を悪くするような毒を吐くのではないかと心配になってしまうのだ。

 だいたい私はいつも色々なことに腹を立てている。

 Twitterというのはシステム的にぽんぽんと思ったことを書かせるようなものとなっている。アフォーダンスとか言いたくなるが、私にできるのは阿呆ダンスだけである(注)。

 誰かを言葉で刺したくないし、誰かに燃やされたくないしと思っている間に時は流れていく。


 だから、腹が立ったときは何かを書く前に庭に穴をほって、そこに叫ぶような塩梅でやりすごしている。

 王様の耳はロバの耳!

 そして、心身ともにおだやかになった私はつぶやく。

 う○ちなう、と。


(注)どうだ、すごいだろう。こんなオヤジギャグを言えるようになるまでは、周囲の冷たい視線に刺され続けて目から血の涙を流すくらいの修行が必要なのだ。

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