ゲソ:戯作あるいは一坪でお散歩

 馬琴の八犬士は化け物。

 どういうわけか一〇〇年以上前のその文言が頭から離れない。

 一〇〇年少し経って、今ではデータベース消費されるキャラクターみたいな話が出てきて、それすらホコリをかぶりはじめた時代であるにもかかわらずだ。

 大体、私は当然彼の知己でもないし、血の繋がりもない。都の西北とも関係ない。どうしてこれほどまでに頭と指にこびりついてしまっているのか。自分でもよくわからない。


 受けるものを書きたい。

 そう考えるとキャラクターはわかりやすいほうが良いだろう。

 それでも冨山唯継は書きたくない。

 なるべく名は体を表したりしない普通の人を描きたい。

 ごく普通の小心で狡くそれでいて善なることをしてしまう、そういう人たちを描きたい。

 悪人でもサイコパスみたいなのは、ぽんぽんと出したくない。


 難しいね。

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