ときすでにおすしの巻

タイ:ホメタイ、ホメテソダテタイ

 褒めて育てるのが私の方針である。

 したがって、太郎丸(仮名)も次郎丸(仮名)も褒めまくっている。


 言われたことを守れた。アタマイイネー。

 ちゃんとペットシーツに命中させることができた。スナイパーダネー。

 他の犬と挨拶した。オオモノダネー。

 投げたボールをキャッチできた。コトシノドラフトカカッチャウネー。

 ご飯を残さず食べた。エライネー。

 快便だった。ブリブリダネー。

 座ってたたずんでいる。カワイイネー。

 何もしないで転がっている。ナイスセクシー。


 いくら褒めても褒め足りないが、それでもまだ褒めたい。

 可愛い、偉い、頭が良いという褒め方だけでは飽き足りない。

 一時期はボディビルの語彙を拝借してみたりもした。

 基本的に我が家の犬たちは筋肉質である。


 きれてる!

 バリバリ!

 でかい、でかいよ!

 ナイスバルク!

 

 彼らも喜んでくれるのだが……。

 この褒め方はどうにもテンションが高くなりがちである。

 

 ナイスバルク! でかい、でかいよ! と褒めると、太郎丸(仮名:ガチムチ)も次郎丸(仮名:細マッチョ)も「はい! ズドーン!」とばかりに飛びついてくる。

 もう少し落ち着いた褒め方をするべきであろう。


 そういうわけで最近は尻をマッサージしながら「ずっと触っていたいケツだなぁ」「魅惑の尻の持ち主だなぁ」と耳元でねっとりとささやくようにしている。癖になってたまに外でも出てしまう。

 卑猥な言葉で犬に話しかける変質者として通報されないか心配である。

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