ウインナーコーヒー:おさなきころの間違い

 幼い頃は知識が足りていないものだ。

 では、今、足りているかと言われると目をそらしたくなるが、それでも昔よりは物を識るようになった(はずだ)。


 幼い頃は珍妙な間違いをする。

 ウインナーコーヒーというものはコーヒーにウインナーが刺さっているものだと思っていた。


 このような間違いをした者は私だけではないはずだ。

 その証拠に私がほほえみを浮かべて「ウインナーコーヒー」というだけで「セクハラで訴えられますよ」と言う者がいたからだ。

 ナニを連想しているのだ、君は?

 そもそも『殺し屋1』を勧め、谷崎の「刺青」を熱を込めて朗読する君のほうがよほど危ないだろうに。「今にそろ/\疼き出して、どうにもこうにもたまらないようになろうから」(注)じゃあないよ。


 外という漢字が読めなくて「タト」で「あそんでこい」という母のメモに頭を悩ませたこともある。

 私が出した結論は「お母さんは急いでいてソトって書きたかったのに字を書き間違えちゃったんだ」である。

 意思の疎通こそできているが、相手に責任をなすりつけすぎである。


 近年も英語の発音で間違って憶えていたのを思いっきり笑われた。

 私はまだまだ幼いようであるバブー。


(注)谷崎潤一郎 「刺青」(青空文庫)

https://www.aozora.gr.jp/cards/001383/files/56641_59496.html

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