台湾ラーメン:キスマーク(エロ回)
昔々、バカたちがおりました。
バカたちは暑い日も寒い日も天気の日も曇りの日も雨の日も雪の日も、つるつる滑る床の上で奇声を上げながらダンスを踊っていました。室内競技というのは嫌なものです。
バカたちは異性に憧れていたものの、異性はここに入ってきてくれません。
だから、バカたちはただひたすらにバカなことばかりを考え続けています。この学校はバカの蠱毒なのです。
ある日、バカの一人が言いました。
「なぁ、これキスマークってやつに見えないか?」
当時のダンスコーチたちはバカたちの首やら胸やらを竹製の棒でどつきまわすという文化を持っておりました。
そのせいでバカたちの首や胸には赤やら青やら黄色やらのマークができていたのです。
赤はともかく青、黄色ではキスマークというより信号だろとか言ったって、バカたちは理解しません。なんといってもバカなのですから。
「ほら、こうやってちらりと見せると……」
バカはカラーを少しゆるめて見せました。
しかし、ここに問題がありました。
バカたちは現実のキスマークというものを知らないのです。
バカの一人が言いました。智慧が多少回るバカでした。
「実物と比べれば良いんだ」
彼は自分の前腕にむしゃぶりつき音を立てて吸い始めました。
ああ、なんてことでしょう。
智慧が多少あってもバカはバカだということにかわりはなかったのです。
さて、このお話の語り部はバカたちをバカ呼ばわりしていますが、実のところ、彼も成長することのないバカの一人です。
彼は「エロ回」とつければPVが回るに違いないという浅薄な思いつきで、このようなお話を語り始めたのですが、オチを考えていませんでした。
だから、この話はオチもなく終わるのです。
とっぴんぱらりのぷう。
◆◆◆
なお、この話を思いついたのは、松下真奈氏の作品を読んでいたときのことである(ただし、どのように素敵な話を読んでも下品な馬鹿話しか思いつかなかったのは筆者の品性と知性の欠如だけが原因であることを念のため断っておく)。手紙のやりとりでもなまめかしい話に仕立て上げられる氏の作品を下に記す。キスマークについては二章の終わりから三章のはじめのほうに出てくる。
ちなみに私の中での氏のイメージは瞳の描写にこだわりがありそうで、なまめかしい話を書く鉄人である。鉄人の理由は氏の諸作品の更新日時をご覧になっていただければわかると思う。
松下真奈 『青い半魚人』
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