御痴走帖

ほうしょくしゅうじつの巻

ベルギービール：香草漬けの犬

　ハーブやスパイスが好きだ。

　一度に大量に必要になることは多くない。しかし、少しだけほしい時に店にないなんてこともざらである。

　だから、育てられそうなものに関してはなるべく庭に植えるようにしている。

　猫の額よりも狭い庭だがハーブをいくつかならばなんとかなる。

　ローズマリーは目隠しにも便利だし見栄えが良い。

　ちなみに庭は犬たちのテリトリーである。天気の良いとき、彼らは庭で日向ぼっこをしている。

　日向ぼっこゾーンの近くにもローズマリーが生えている。

　昼寝をしていると太陽とローズマリーの匂いを身にまとった犬たちが戻ってくる。

　ローズマリーは肉料理にも合うハーブだ。

　犬を転がしてみる。

　でろんと転がって腹を出しているさまはチキンの丸焼きである。

　指で腹を切る真似をする。

　犬たちが頭をこすりつけてくる。

　私にもローズマリーの香りがつく。

　魔女がいれば、みんなまとめてオーブンに放り込まれそうである。