魔法少女
結界が壊れる音を聞きながら、私は内心面倒なことになったと頭を抱えていた。
飛んできた弾丸は中々のものだった。
さっきの銃撃のような純粋な威力ではなく、魔法を絡めた防御の突破に重点を置いた攻撃。
その分準備には時間がかかるようだが、成果は出ている。
私は、魔法少女に変身していた。
「それがお前の衣装か」
「あれ、そっちにデータないんだ。元魔法少女なんだけどな」
全体的に青色で構成された私の衣装。特徴は長いつばがついたキャップと、膝辺りまである長いワンピース。
久方ぶりに纏う衣装は、あの時と変わらず体に馴染んでいた。
「どう? かわいいでしょ?」
「おぞましさしか感じないな」
「■■は、可愛いって言ってくれたよ?」
「何を言って……」
私の言葉に、目の前のよく分からん女は疑問の声をもらす。
そういえばそうだった。コレはもう、私しか認識出来ないんだった。
瞬間、湧き上がりそうなる怒りと殺意と、その他無数のどす黒い感情。
私はごくんと唾と一緒にそれらを飲み込んだ。
……そろそろヤバイな。
一度大きく深呼吸して、よく分からん女を見据える。
「な、なんなんだ、お前はッ」
「そうだね。何なんだろうね、私は」
気圧されたのか、後退りする女。
まだ手札があるようだが、それに付き合っている暇はない。
私には、やることがある。
杖を構え、一言唱えた。
「津波」
言葉と共に足元に現れる魔法陣。
展開直後、再度狙撃がとんで来るが、私はそれを強化した手で叩き落とした。
これを射っている奴は魔法少女でほぼ確定だろう。であればいつか殺す。探すのが面倒ではあるが、それ以上に奴らが憎い。絶対に逃さない。
魔法陣が光り輝き、そこから水が渦のように立ち上る。
女と周りにいたよく分からん奴らは何やら魔法を準備しているようだが、直ぐにそれが無駄なことだと分かるだろう。
「押し流せ」
渦潮が開放され、周囲に撒き散らされる。
それに合わせ、女達が準備していた魔法を発動させるが、全て水に飲み込まれていた。
数秒後、そこに私以外の人の気配はなく、元通りの暗闇が在るだけとなった。
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