第95話 先生へのサプライズ

【前回の未来の描写ですが、このままエンディングになってしまいそうな雰囲気かなぁと思ったので削除しています。またどこかで出そうとは思っていますが、それはまたいずれということで……今回はメインではないので短めです】



 俺達がこっそり席についた時、真守さんが先生への手紙を読み上げているところだった。


 なにしろサプライズ企画なので指輪交換をしてもらおうにも、事前に指輪を預かっておくわけにもいかなくて。そこで思いついたのが旦那さんからの手紙。準備段階で打ち合わせをしていた時にお願いしておいたのだ。


「結婚当時、仕事に追われていたせいで式も挙げることができなくてごめん。君は大丈夫と言ってくれていたけど、残念がっていたのは知っていたよ。それなのに文句の一つも言わず、いつも私を支えてくれて本当に感謝してる。今日、君の生徒さん達の誘いを受けたのは、いい機会だと思ったからなんだ。こんな機会でもないと式を挙げようなんてことにはならないだろうからね。生徒さんに聞いたんだけど、この企画を考えたのは君なんだってね。本当に面白いことを考える人だよ。いつも底抜けに明るくて、たまに突拍子もないことをして私を楽しませてくれて。茜といると本当に楽しくて退屈しないんだ。だから、いつまでもそんな茜のままで私の側にいてください」


 真守さんが手紙を読み終える頃には先生は泣きじゃくっていて。どうにか先生を巻き込んでやろうと思って考えたサプライズだったけど、結果として良い方向に働いたようだ。だってあんなにも嬉し涙を流してるんだから。


「って言ってますけど、先生はどうですか?」


 遥が先生に返事を促す。


「そんなの……いつも私が振り回してばっかりなのに……私の方がお願いしないといけないくらいなのに……」


 そこから先はもう泣きすぎて言葉も出なくなっていた。


「大丈夫そうですよ、真守さん?」

「うん。ありがとう、柊木君」

「いえいえ、このサプライズを考えたのはさっきの2人なんで」

「高原君と黒羽さんかい?また後でお礼を言わなくちゃなぁ」

「でも今は先生のことだけ見てあげてくださいね?」

「あぁ、そうだね」


「それではこの先も2人が共にあることを誓ってキスをお願いします」


 遥の言葉を受けた真守さんは、優しく先生の涙を拭って口付をする。先生も真守さんを抱き締めて……


 そこでもう皆、我慢の限界だったんだろう。全員立ち上がって拍手がおこって。


 それに見送られて先生夫婦は退場していった。








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