第7話 自己紹介と仲間



 ころもちゃんたちは、トースター付近からほど近くに、拓けて安全そうなスペースへと移動していた。


「とりま、自己紹介とかしよーよ!見た感じ、そっちも名前とか付いてるっぽいし!これから仲間になるかもだし!」


 ころもちゃんの周りの食べかすの中でも社交的なのは、食パンの食べかすである、ぱんくずちゃんだ。

 彼女は、改まった自己紹介とか初めてー!と言いながら楽しそうに、はしゃいでいる。


「こーゆーのは、言いだしっぺからじゃん?あたしからやるね!あたしはぱんくずちゃん。食パンの食べかすから生まれたよ!」


 はい!次ッ!と言われたのはぽてちくんだ。


「僕は、ぽてちくんさ!ポテトチップスから生まれたんだ、ジェントルたちよろしくね。」


「妙な言い回しでござるな!なかなか興味深いでござるよ!」


「そうかな〜!ジェントルは面白い事を言うんだね!」


 ぽてちくんの言い回しに、興味を示したのは、白く大きめの食べかすだ。


「あんたも、割りと変わってるよ〜!ってことで次はあんた!自己紹介して!」


 ストレートに、物言うぱんくずちゃんは、みんなが思っていることも、ズバッと言ってしまう。一見、きついようなイメージだが、彼女の人懐っこさであろうか、全く嫌な気持ちはしない。ころもちゃんは、ぱんくずちゃんのそんなところを、尊敬している。

 さて、自己紹介に戻ると、白い大きめの食べかすが、喋りはじめた。


「拙者の名は、おこめくんでござる。米粒より食べかすになったでござるよ!皆、よろしく頼むぞ。こちらは我が友、ぱんくずくんである。」


「そういうわけで、俺は食パンから食べかすになったぱんくずくんだ。おこめくんとは友人になった覚えはない。あと、そこのうるさい食パンの食べかすとは同胞だ。」


 しぶしぶとはなしはじめたのは、おこめくんと共にいた、ぱんくずくんだ。なんと彼は、ぱんくずちゃんと同じ食パンから生まれており、同胞というのは全く間違いではないようだ。

 ちなみに、友人ではない、と言われてしまったおこめくんは、ぱんくずくんに向かって、そんな事はないでござるよ!と文句を言っている。


「なによ〜!うるさくなんかないってば!も〜、じゃあはい、最後!ころもちゃんね!」


「あ、うん!アジフライの衣の食べかすから生まれました。ころもちゃんです。よろしくお願いします。」


 ころもちゃんは、なんだがふと懐かしい気持ちになった。そういえば、ぱんくずちゃんに初めて会ったときもこんな感じだったな、と。変わったところと言えば、恥ずかしがる事が少なくなった事。ころもちゃんも成長しているのだ。

 今ならば、あの提案は受け入れられるかもしれない、そう思いころもちゃんは、みんなに向かって声を掛ける。


「あのさ!一旦もう少し、安全なとこ戻って、パーティーしない?折角いっぱいいるし、やってみたいんだけど、だめかな?」


 ころもちゃんは思い切って聞いてみた。すると、ぱんくずちゃんを筆頭にみんなが、賛成してくれたのだ。


「拙者たちも、仲間に加わりたいでござるし、良ければ行くでござる!」


「ハァ!?仲間になりたいとか、俺は言ってないけど!ま、どうしてもって言うなら…」


「仲間増えたパーティーも一緒にしちゃおうよ!あたしたちは歓迎だしさ!いいよね?ふたりとも!」


「俺に被せて喋んな!」


 ころもちゃんたちは新しく出会った仲間たちがと、ワイワイと喋りながら、来た道を戻り、より安全な場所に移動している。

 食べかすたちは、新たな仲間に喜び、希望を見出していた。危険な事は、たくさんある事には代わりは無いが、どうか長くみんなと楽しく過ごしたい、と。

 ただひとり、ぽてちくんを除いては。

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