#61 昭和の旅 思い出ユース 1

*以下の話は 半世紀程過去の体験&体感話です

 現在は改善され淘汰され洗練されていると思いますので

 令和にご利用希望の方の参考にはなりません 念のため


その景観が記憶に残るユースで一番は

今はなき 鷲羽山ユースホステルです

https://www.youtube.com/watch?v=Cr56Lygx6Tc


ほんとのほんとの岬の先端にあって 長い坂道を登っていくと

ユースの人たちが「早く 早く」と手招きをしてる

近づくと はぎとるように荷物を取ってとにかくもっと先に行けと

なんのこっちゃい? と進んだ先は 岬の最先端

松の木越しに瀬戸内の島々 青い海 沈む夕陽 の風景でした

十代の私にとって初めて見る そして一生忘れられない美しさでした

     瀬戸内にはそれから何度も行きました 美しい風景も沢山見た

     でも 岬を土台に瀬戸大橋ができ 鷲羽山ユースが消え

     二度と見ることのできない風景 という意味で一番にしたいです

後でユースの方に「沈む位置や天気の具合 今日ほどの夕陽は中々ないから」

と言われて 必死で急がしてくれた気持ちが本当に嬉しかったです


珍しいユースも色々ありましたが

高知県の私営ユースは 純粋に個人宅 いや邸宅がユースで

見事な日本建築のお宅と広い庭園があって そのお庭を望む広いお座敷が

宿泊場所で男女をふすまで仕切って それぞれ布団を敷いて雑魚寝です

修学旅行の感じでしょうかね


多分ですが ご家族は別棟の離れで暮らしてらしたようで

ユースのお世話は若いスタッフがしていました

当然 家族風呂には入れませんので 入浴券をもらって最寄りの銭湯に

行きます  トイレも広いお庭の一隅にあるものを使いました

当然和式… はいいのですが  便器が白地に青で総柄が入ってて

ちょっと ギョッとしました

夜は あたりはもちろんお庭も真っ暗で 懐中電灯片手に

池を巡り 松の木にドキッとしながら 使わしてもらったのも

怖~かったけど  ちょっとすごい 想い出です


ギョッとしたと言えば 山陰の山の中のユースもすごかったです

宿泊受付の返信ハガキに書かれたバスに乗り 指定されたバス停で降りると

そこは 灯り一つない山道の途中 見回しても建物なんか一軒も見えない

バスは行っちゃったし 歩き出す事も出来ず 途方に暮れていると 

深い谷からゆらゆら揺れながら 灯りが上ってきます    

何? タヌキ? キツネ? と思っていたら 草をかき分けて 

おじさんとお姉さんが現れました「やぁ~ 遅れちゃってごめんな」  

ユースのお迎えでした バスの時間に合わせて来てくれたんです


そこから懐中電灯の灯りを頼りに 細い道をひたすら下ると 

上からは見えなかった河原に出ました

そこにプレハブ小屋のようなユースがポツンと建っていました


そのユースの食堂の天井から少し下がった所に黒い横線が引かれていて

いつの年かの 大水の時は水がここまで来たんだ と教えてもらいました

翌朝 外に出ると川は細い細い流れでしかなく

あたり一面 石が一杯ある広い河原でした 顔を上げると両側から

高い緑の山が迫ってくる V字渓谷です あんな高さまで水が迫ってきたら

逃げ場はないなとも感じました


限りなく静かで 美しい そして少し怖ろしい場所でした

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