#60 昭和の旅 監獄ユース

*以下の話は 半世紀程過去の体験&体感話です

 現在は改善され淘汰され洗練されていると思いますので

 令和にご利用希望の方の参考にはなりません 念のため


ユースホステル(以下ユース)は当時統制の取れていない部分もあり

規律最優先型や わしが若いもんを鍛えなおしちゃる型 

潰す前の旧舘有効利用の放置型等々 百花繚乱 思い出は一杯です

当時 関西大学ユースホステル連盟でささやかれていた噂に

〝日本三大監獄ユース〟というのがありましたが


一つは名称を忘れましたが どんな時代にもいる

「近頃の若いもんはなっとらん!」オヤジペアレントが 

玄関で到着するホステラーを待ち構えてて

最初の「こんにちわ!」が小さい!とか 脱いだ靴がそろってないとか 

クレームつけては 何回もやり直させたり

食事中 箸の持ち方や食べ方にチェック入れて回り 残すと怒る

てな具合の 雷親父型ユースと聞いてました


もう一つは 網走ユース 行ったことがないのですが

これは単なる 地名からの命名だったかもしれません

当時 高倉健さんの網走番外地といえば誰でも知ってましたから


最後の一つが 某岬の先端にあるユースで

もちろん 避けたいところですが そこを旅するには

避けて通れない ので宿泊しました 夏休みです


どこのユースもエアコンなんてないのが普通で扇風機が回ってたら御の字

    さすがに冬の暖房はある と言っても食堂だけで

    優しいところでは 湯たんぽを貸してくれるところや

    部屋が和室なら こたつがある所もありました

    ええ 湯たんぽ抱えて 足を温めて寝るのですよ


それにしても そこは暑かった 岬に向かって上がっていく坂道の途中に

造られていて 二階の食堂は同じ地平に岬と海が見えるけど 入口の一階

部屋は半地下で 三等寝台車のような狭い三段ベッドが向かい合って二つ

通路は激セマ 窓は一番上のベッドの位置に横長の押すと少し斜めに

なって隙間が開く そこから見えるのは岬の地面(芝生)つまり三段目の

窓が地平の位置 風なんか入ってこないけど 地面にいる虫は入ってくる 

6人詰め込まれたら人いきれだけで暑い

うん まさに監獄ユース


それで 同じ苦難にあった者同士「到底 寝られませんよね」ってんで

丑三つ時 涼みに岬に抜け出した 海に突き出した岬です  

潮風 一面の芝生 星空 やがて海から上ってくる朝日


今でも 覚えています 芝生に寝転がって「初めからここで寝たかったね」

なんて 初めて会ったもの同士が 朝日を見ながら打ち解けて話す

これがカニ族 一人旅の大きな楽しみの一つでしたね


確かに〝監獄〟だったけど これはこれでいい思い出になってます

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る