#59 昭和の旅 ユースホステル

*以下の話は 半世紀程過去の体験&体感話です

 現在は改善され淘汰され洗練されていると思いますので

 令和にご利用希望の方の参考にはなりません 念のため


日本のユースホステル(以下ユース)がいつ始まったかは知らないけれど

昭和40年当時 オッソロしい程の玉石混交であった事は事実です

まあ 直営(協会が直接運営) 公営(市区町村などの運営)

私営(個人による施設の提供 有志の個人宅から建替え取壊し前の旅館まで)

が入り交じるのですから致し方ない事ではあったと思います


基本 ユースの宿泊費・朝食代・夕食代は上限規定があって

大変安く 当時 一泊二食で千円はしなかったと記憶しています

その代わり 宿泊者に対する規制は厳しく


1.夫婦親子といえども 男女同室は不可

2.部屋は共同使用(つまり原則知らない同性の人と同室になる)

3.飲酒厳禁 

4.食事後 食器の後片付けは宿泊者がする

5.到着時間・就寝時間・起床時間はそのユースの規定に従う

6.食後は全員参加でミーティングする

7.布団使用に際しては スリーピングシーツ持参の事

  有償でレンタル予約可

覚えているだけでこれだけあります


1~3 は最近は緩やかだと聞いた事がありますが 当時は絶対でした

 のわりに タバコはミーティングルーム(食堂)ならOKでした


4は むしろユース側から断られることが多かったです

 まあ 素人がワサワサ入ってこられちゃ厨房は迷惑ですよね


2 はね 良かったです

 これは ユースの一番いいところだったかもしれません

 知らない人と同室になって これから行く方向から来た人と

 情報交換して 旅の予定を組み変えたりもします

    私の経験で言うなら行くつもりだった某川下りが

    想像以上に時間がかかり 降ろされる場所から駅が

    遠いと聞いて中止したり 

    当初の乗車予定をずらせば 蒸気機関車に乗れるとか

    あの店は穴場で安くて美味しいとか その反対とか    

 その人がどこから、なぜ旅に出たのか どんなルートをたどって 

 今ここにいるのかを聞くのも めちゃくちゃ楽しかったです

     SNSなんか もちろんなかった時代です

     同じ旅好き女性と出会って情報を交換し

     お互いが旅してきた各地の思い出話をする時間は

     本当に貴重でした


 実はこう見えて かなりの人見知りだったんですが 

 明日は永遠に分かれていく人と思えば おしゃべりできました

     なんとなく 連絡先交換なんてしないもんでした

 

5.は 特に私営では 主(ペアレント)の個性爆発で

 早朝から ガンガンラジオ体操の音楽で起こされたり

 朝食時間になっても何も出来てなかったり 色々思い出一杯です


7.の スリーピングシーツを先に説明します

 規制のものも販売していますが生地がしっかりしてる分重いので自作で

 2m程の木綿布を半分に折り 上50cm程残して長封筒のように縫います

 上下の布団の間にそれをひいて 中に体を入れる仕組み

 縫い残した分の一方は 内側に折り返して両端を縫い 

 そこに枕を入れます もう片方は掛布団に折り返して襟カバーに

 どうです合理的でしょ 

 これであなたの汚れや皮膚片・DNAは布団につきませんし

 布団の汚れも… ね


6.は 個ユース差 あり過ぎて なんとも言い難いのですが

 一応 宿泊者間の親睦を図る という事で夕食後の時間を

 みんなで何か一緒にしましょうと するミーテイングです

 現実的には するところもしないところもありましたし

 こちらも その日や明日の行程次第で はよ寝たい時は

 欠席する事もありましたね


私はクラブで小中学生の招待キャンプリーダーとかやったりしてたので

歌ったり踊ったりゲームしたりも 割と平気でしたが 

初めての人は面喰ってましたね  今でもやってるのかな?


他に 例えばその土地の歴史や近隣の観光地の紹介などして下さる所もあります

     これは 本当にありがたい

某ユースでは ペアレントさんの紹介(顔パス)で

希望者が まだ調査中で未公開の鍾乳洞に研究者さんの説明付きで

入らせてもらったり

船にただで乗せてもらって あたりを観光しながら駅まで送ってもらったり

また ミーティングに 現地名産のスイカや鍋一杯のレモネードが出たり 

みんなで花火したり… 

というと いい事ばかりみたいですが


取壊し前の旅館旧舘に目一杯詰め込まれ そんな事一切しないとこもあるし 

それが楽しみでやってるみたいな 個人ユースのペアレントさんの

若者に対する説教や苦言を延々 聞かされることも ありましたね


まあ今となれば どれも懐かしいですが 長くなったので #を変えて

もう少し よみがえってきたユースの記憶を書きます

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