#58 昭和の旅 CP夜明け前の予約

♯57で さすがに野宿はできないので女子の一人旅の宿は

ユースホステルか役所観光課に紹介された民宿と言いました 

もちろんどちらも格安です


でもね女子って お金がなかった訳じゃないんですよ

当時はお金があっても 普通の旅館や紹介以外の民宿では

ガラガラなのが見えていても 満室だと言って断られたんです

ええ 女の一人旅は普通じゃない と思われてましたからね


それに当時 旅館の一番の上客は 宴会をする団体さんやグループ客

まあ男性なら一人でも 芸者さん呼んでどんちゃん騒ぎする人もいるけど

女性客はそいうお金は落とさないのも 嫌われる理由だったでしょうね


観光地の駅や船着き場に着くと 各旅館の小旗を掲げた番頭が

予約客を出迎えたり フリーの客をつかまえてその場で値段交渉して

客を取り合うキャッチセールスみたいな風景が普通にあったけど

女一人で下りてくると みんな目を背け 完全にスルー

〝嫌がらんでも 宿 決まっとるわっ!〟と 心で叫んでましたワ


列車は女一人旅でも断りませんが  乗車券や特急券とは別に

指定席券も欲しい時 どうやって買ったでしょう?

もちろん スイカもない ネットもない 電話でも受け付けてない

さらに言うなら 緑の窓口もないし もちろん券売機なんてない

さあ どうする?


まず購入できる駅は限られています まずそこまで行き 

前売り券専用窓口で 指定の用紙に指定席券を購入したい列車・日付 

出発時間 さらには購入者の住所氏名連絡先まで書いて 窓口に差し出します 

すると駅員さんが その列車の始発駅に電話して コレコレの券があるか聞く


聞かれた方は 出発日別のその列車の編成表のあるバインダーを探して

席があれば 号車と座席番号を知らせて 表の中の席にチェックを入れます

これで次の問い合わせが来てもその席が売られる事はありません  一応ね

それでも 販売窓口側の駅員さんが聞き間違って 切符に書き込む事もある 

   指定席券の日付・時刻・号車・席番号は すべて切符に手書きですから   

   ダブルブッキングなんて珍しくなかった 避けるには始発駅で買って

   座席表にチェックいれるのをしっかり見届け 券の表記を確かめるしかない

特急券や乗車券に指定席券まで買えば 切符は硬券3枚になります


窓口の人が「席は窓側がいいかな?」なんて聞いてくれる幸運もあったけど 

なんせ国鉄さまは国営企業だったので〝乗せてやってる〟スタンス強し 

こちらからのリクエストなんて 受け付けないのが普通 

窓口によって当たりはずれひどし 某国の入国審査みたい

お金は黙ってひったくって 切符はポンと投げ渡されること…  まあ普通


職員のみが使えるコンピューターが販売に導入されてからは 

予約に関しては 発売日前から申し込みだけしとく事が可能に 

希望を書いた用紙を窓口に預けて 番号をもらい帰ります 

発売当日(乗車一か月前) 再び窓口に行くと

番号の横に 〇や×が書かれた板が置かれて 〇があったら取れたよのサイン 

二度目の来訪で無事窓口で切符を購入できるという手順

もちろん×なら しおしお帰るしかない  申し込み日の速い遅いは関係ない 

おかげで一件一件始発駅に電話する事がなくなり 長蛇の列は解消されました

    一か月前の定時に一斉にメインCPとつながって受付が始まるので 

    盆や正月などは 一瞬で満席も珍しくなく 

    早く予約入れてても最後はつながり方の運次第…     

    まあ コンサートチケと同じですな


すべてが 人任せなので駅員さんに〝あんた本気でやってくれた?〟疑惑は… 

ぬぐえない

子供や年寄りが乗る時など 座席の窓側とか通路側とか欲しいとお願いしても

「できない! なんせコンピューターが決める事だから」と断られる事も多々 

でもね 機械にABCDEの席選択キー始めからあるの 見えてたんよね 

あの頃は怖くて言えなかったけんどね

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る