#52 創成期TV局こぼれ話 

ここでは目標の1話1000字以上に満たないお話を

いくつか書いてます

・○○TV放送網 完成前夜

 現在ゴールデンタイムの放送は各TVネットワーク経由で

 同時刻同番組が流れるのが普通ですが このシステムができる前は

 それぞれの局で独自に制作した番組が流れていました


 ある日バイト終わりに 副局長(二人)から食事に誘われました

 彼らこそまさに TV局創成期のディレクターだった人たちです

 飲むほどに二人で昔話を始めます 物凄く頑張って準備した番組が

 好調で嬉しくて嬉しくてたまらなかったのに 突然その時間帯を

 東京のキー局の番組を流すのに〝横取り〟されたんだそうで

 「最高視聴率取ったばかりだったのに」「あの時は泣いたなあ」

 「悔しかったよなあ」 って おじさん二人でまた泣き出したんです

 きっとネットワーク完成の裏で地方局のディレクターたちの熱い涙が

 沢山流されていたんでしょうね


・怖いファン

 関テレ制作のドラマに元アイドルスターが主演していました

 と言っても 撮影は関東で行われていたのですが 制作局にもファンレターは

 届きます マネージャーさんからはこちらで開封してから届けてくれと

 言われていたので 我々バイトが開封していました

 ある日 開封していたバイトの子が「これ重いよ ブヨブヨしてて怖いよ」

 と言いながら封書を開けた途端に「ぎゃぁあああ~」と叫んで何かを机に

 放り投げました

 慌てて駆けつけて見ると ビニール袋にドロンとした茶色の物体が入っています

 一瞬 💩 と思い 全員悲鳴を上げました

 ADさんが同封された手紙を読んで確認すると それは〝味噌〟だったのです

 『毎日の撮影にお疲れの○○さんに これで美味しい味噌汁を作って

  飲ませてあげて下さい』

 と書いてあったんですがぁ~ 封筒に入る程の量をビニール袋に入れただけで

 銘柄もなにも書いていません ADさんが「髪の毛でも混ぜてんじゃないか」と

 言ったので 我々はもう一度「ぎゃぁあああ~!!」と叫んだのです

 本当に スターも楽な商売ではありませんなあ


・いや だから こちらに苦情言われても

 当時 ある程度の規模の会社には交換台があって 大代表の電話番号にかけると

 まず交換台につながり交換嬢が電話に出ます そこで名乗ったうえで

 何部の誰々さんに とか言って誰々さんの机の電話につないでもらうのです 

 その電話に出ると まず交換嬢がかかってきた相手の名を知らせてくれるので

 場合によっては 居留守も可能な訳ですし 予め この電話には留守と言ってくれ 

 なんて交換台に頼む人も(掛取りから逃げてたりして 知らんけど)


 交換台には クレーム対応までしてくれる人もいるし めんどくさいからと

〝なんでここにつなぐ?〟という電話をつないでくる人もいます

 私が困った相手は

「おい うちのテレビお前んとこだけが映らへんのや はよ直せや」

というクレーム 

こっちの電波が悪かったら苦情電話が一本だけというのはあり得ないので

「それは お宅のテレビの受像機かアンテナを確認して頂かないと…」と言ったら

「他の局は全部映っとるんやから うちのテレビちゃうねん お前んとこや

 はよ直せ!」  って 聞かない てか なんで制作部につなぐねん

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