#50 パンチdeデートの作り方

若い頃の桂三枝(文枝)と西川きよしが司会する

パンチdeデート は全国放送にまでなりましたが

元々は 深夜番組 ナイトパンチの1コーナーでした


深夜と言っても10時か11時位 月~金の生放送帯番組で

吉本新喜劇の若手とADさんが各曜日別に担当していて

お互いに競い合って 特徴のあるコーナーを作っていた

その一つだったんです

     概要は 一般の男女一人ずつがカーテンで仕切られた

     両側から登場して正面を向いて椅子に座ります

     三枝ときよしが各々の側について 話を聞きだし

     カーテンにある穴から お相手を除いてヒントを出す

     「オヨヨ!」という三枝のギャグはここで生まれました

     相手の声や話しぶりを聞いた後で 二人は椅子を向かい合う

     形に変えて カーテンが上がる「ごた~いめ~ん」です

     少しの会話の後 再び正面を向いた二人にスイッチが渡される

     もう少しお話したいなと思ったらスイッチを押す

     すると 背景のハートマークの自分側半分が点灯する

     これが両方付いたら スポンサーからレストランのお食事券や

     デート代が渡される という まあ簡単でチープなコーナーです


これがもう 大ヒットしました

当時 各番組でやっていたプレゼント企画への応募やご意見ご要望などは

ほぼすべて葉書で寄せられるので 制作部は私書箱を設けそこに来た

郵便物は郵便局から郵袋と言われる 人がすっぽり入る程の袋で毎日

配達されてきます それを開封して番組別 曜日別 懸賞とそれ以外等に

分けるのはアルバイトの仕事です

パンチdeデート出演応募増加で その袋が一日一袋から二袋になったんです


担当ADは真面目な人で いい加減な紹介はできないと 

応募は封書で略歴や写真の添付を求めました 

時代もあって女子の応募は少なく その20倍位の男子の応募があって

女子の出演面接は 全員対象に随時行われ(喫茶店で好きなもの食べて)

月に一度程の面接に進める男子は数が多すぎるので選抜制で 

選ぶのは 若い女の子の感覚が必要という事で我々に任されました

写真や書かれた文字の力強さ等で キャッキャと言いながら選ばせて頂きました

    まだまだ 番組制作の過程など誰も知らない時代です

    「写真送ったけど 出演日はいつだ?」という電話もよくありましたし

    また面接の日時を連絡すると 収録日だと思ってきた方もいました


男子の面接は時間を分けて 10人ずつ位を呼び 会議室でまとめてADさんが

雑談をしますがメインはそれではなく 我々が瓶コーラと紙コップを運んで行き

各人に配る時なのです コーラを運んだ時 紙コップを回収しに行った時

チラ見 耳ダンボでチェックするのです


その後 ADさんと出演候補を決めますが まあ男性目線と食い違う

ADさんもびっくりです「ああいう男らしいのはダメなんか?」

「ああいう奴が 本当に優しいんだけどなあ」と肩を落とします 

「いいや 紙コップ渡す時 すごい非協力的だった」

「ADさんの目ばかり意識して 横柄だった」 と女子キビシイです


こうして 出演者が決まり 収録にこぎつけて

(案外一生懸命に どの二人が合いそうか考えて決めてるんです)

心優しいADさんは男子に「よほどでなかったら押してあげて」

とハートランプを点けるように頼みます

男が振られるのは笑えるけど 女子が点けたのに振られれるのは

笑えないという事もありますしね

     実際 女子だけが点けて 泣き出してしまい

     点けなかった男子への非難の手紙が来た事もありました

     今でいう炎上案件ですね


放映後 丁寧なお礼状を送ってこられる まとまったカップルもあるし

『○日のお嬢さんをうちの嫁にしたいので連絡先を』と 

真剣に 巻紙の釣り書や見合い写真を同封される親御さん

そこまでいかなくても男女問わず〝あの方の連絡先を教えて〟

という手紙は しょっちゅう来ていました

いかに 個人情報緩い時代と言ってもそのまま教える事はしません

すべて ご本人にお渡しして判断して頂くようにしていました


今より バラエティーを真剣に見ていられた方が多かった時代です

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